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夢見る文系スケートボーディング愛好家

chrome ball interview #25: dennis busenitz


マニアックかつ愛情こもった膨大な雑誌アーカイヴがたまらないアメリカのスケート・ブログ「THE CHROME BALL INCIDENT」。その愛情が認められ、どんどんアメリカのスケート業界とも絡み始めてオリジナルのインタビューも企画するようになりました。GinoやMike Carrollなど素晴らしいインタビューが次々と発表されるたびに「翻訳したいなぁ」とウズいておりましたが、このたび思い切って伺いをたててみましたところ、即答で快諾! 嬉しいです!
ではまずはデニス・ブーゼニッツから。REALの新作DVD『Since Day One』がますます楽しみになる内容ですよ。

chrome ball interview #25: dennis busenitz
chrome ball sits down with boozentits for conversation.
Taken from THE CHROME BALL INCIDENT with permission
Original Interview by Chops A.K.A. Eric Swisher
Translated by Katsushige Ichihashi(LUECKE)
http://chromeballincident.blogspot.com

さぁ、デニス、ちょうどタンパ・プロで優勝したばかりというところでインタビューをするわけだけど、コンテストでの滑りにあれだけの観客が夢中になったのは本当に久々だった気がする。ああいうコンテストとか大会って君にとってどんな意義があるのかな? 大規模なコンテストやどんどん進化していくSKATEゲームについてまわる狂騒といった要素はプロのスケートボーダーでいるための必要悪みたいなもの? 

Dennis Busenitz [以下DB]... いや、必要悪だなんて思ってないよ。コンテストはクールだと思ってる。いつだって楽しんでるよ。他のプロたちが滑っているのを直に見られるのは最高だからね。僕はどんなコンテストだって「デモ」みたいなものだと思うようにしている。(エリック・)コストンみたいな人たちが滑っているところを見られるわけだから、いつだって楽しいものになるはずだろう? コンテストの競技〜競争面はできるだけ考えないようにしているよ。ただみんなが集まって一緒に滑るセッションだととらえるようにしている。
SKATEゲームもね... やっぱり楽しいよ。たまにコンテストやSKATEゲームみたいなものがものすごく重要なものに仕立て上げられている気がしてがっかりすることもあるけどね。さも人生でもかかっているような感じで。でも、僕にはそういった事柄がスケートボーディングにとってそこまで重要に思えたことはないんだよね... まぁそれ以前に(この世の中で)スケートボーディングがそれほどまでに重要なものなのか、っていう問題もあるんだけど(笑)

REALの『Since Day One』のプレミア上映もせまってきているよね。間違いなく今年もっとも期待されている作品のひとつで、その中でも君のパートに対する注目もかなりのものだと思うんだけど、作品を撮り終えて、自分の新しいパートには満足してる? 自分がパートに入れたかったトリックはすべてものにできた?

DB... 満足してるよ。まぁ、いつだってものにしたかったトリックやこれからだって(挑戦して)ものにしたいトリックは残るものだと思うけど、でもこれが最後の作品てわけじゃないから、そういったものはまた次に回すよ。

君に対する回りの期待がケタはずれに膨らみ続けていて、それが今回の作品でより大きなプレッシャーになるようなことはなかった? ストレスの魔の手を抑え込むことはできた? パート毎に自分をレベル・アップさせなきゃ、ということを心配したりすることはある? それともただできることを自分のペースでやるだけなのかな?

DB... 自分に対する期待については考えたこともないよ。そんなことを考えたって、助けになるどころかストレスで参っちゃうだけだからね。ただ自分の人生を生きて、スケートするようにしてる。なにか良いことが起こればラッキーだし、別に良いことなんかなくてもそれはそれで、と思うようにしているよ。他人の期待なんて考えない。これまでと同じ理由のためにスケートし続けようとしている。

で、君にとってその「理由」って...? 

DB... そうだね... 「楽しいから」(笑) 

(笑)そうこなくっちゃ!

DB... いや、本当にそれが一番だよ。スケートを続けているうちにそれを忘れちゃう人もいるみたいだけどね。

本当だね。

DB... できればそれを職業だとは思いたくないんだけど、妻と二人の子供がいるし、生活には色々とついて回るから、今となってはそういうことも考えないといけない。だからカッコ悪いけどさ、時には僕も「いいか、これはやらないと始まらないぞ。これが俺の仕事だ。オトナになれよ」てな具合になることもあるよ。でも、できるだけ楽しみとして保つようにしてる。

(ADIDASのスケート・チームのDVD)『Diagonal』のパートは今回の『Since Day One』の撮影の合間に撮られたの? あのパートも凄まじかったよね... でも良い素材はREALのために取っておいたと期待しちゃってもいいのかな?

DB... いや、そうじゃないんだ。『Diagonal』のパートは自然と生まれたものなんだよ。あの頃、REALのビデオの話はあまり動いていなくて、まだ撮影ツアーにも行っていなかったし、本格的な撮影はしていなかった。ADIDASは『Diagonal』のために動いていたんだけど、元々はヨーロッパをメインにした作品にしようとしていたんだよね。でも僕を家族ごとヨーロッパに招待してくれて、撮影に参加しないかと声をかけてくれたからその話に飛び乗ったわけ。ただで旅行させてもらえるのは大好きだし。で、結果としてかなり撮影ができたんだよ。僕はちょっとしたゲスト出演かアメリカのスケーターを集めたパート用に数カットだけ撮影できればよかったんだけど、撮影が進むにつれてフル・パートができそうなくらい撮れたんだよね。そしてADIDASの連中はそのままやり続けてくれてフル・パートができちゃった感じなんだ。あれは本当にたまたまフル・パートになっちゃったんだ。
あと自分が撮影したものをREAL用によけておいたり、素材を分けるようなことはしてないよ... 『Diagonal』のパートはADIDASと撮影したものだし、『Since Day One』にはREALと撮影したものだけが入っている。

すごくシンプルだね。自分のパートに向けて撮影に臨むときはどういう感じなの? トリック・リストを作ってる(撮影したいトリックとスポットをあらかじめ決めているの)? それともただ誰かがカメラを持っていれば撮影に出かける、という感じ?

DB... トリック・リストは作らないね。狙ってるトリックは頭にあるけどリストを作ったりはしないよ。たいていは滑りに出かけたときに何かしら撮る、という風に自然にことが運ぶよ。

人が君を撮影するのって難しいと思う? 君が坂を飛び降りるくらいの勢いで滑り降りるだけでもすごいのに、撮影だと誰かがそれを追いかけなきゃいけないわけでしょ? しかも高価なカメラを手にして。それってまた別次元の話だと思うんだけど。(ダン・)ウルフはそれを見事にやってのけたみたいだけど(ADIDASの『Diagonal』は彼が撮影)、君がこれまでキャリアを築きあげてきた中で数えきれないほどのフィルマーが玉砕してきたんじゃないかと想像するんだけど。

DB... そんなことないよ。撮影で転んでひどい目に合う人なんていないよ。たまに「いい運動になったよ」なんて言われることはあるけど... 真意はさておき(笑) でも、僕を撮影するのに苦労をかけるようなことはないと思うよ。

『Since Day One』では誰のパートを見るのが一番楽しみ? とにかくすごいラインナップだけど。

DB... ジェームス・ハーディーがかなりヤバそうだけど、みんなが各々のベストを出し切ろうとしていると思う。それをウルフがまとめてるわけだから、作品全体として楽しみなんだよね。

今はハーディーに注目していると言ったけど、スタイル的にいつだってフェイバリットにあがるようなスケーターとなると誰になるかな? スケーターがスタイルで飛び抜けるには何が必要だと思う?

DB... (ジョン・)カーディエルだね。彼にはあの圧倒的なスタイルがあるよね。本当にヤバいスタイルを持ってる人って、ただ滑っているだけで、自分のスタイルや自分が他人にどう見えるかなんてことには注意を払っていない気がする。たとえばジーノ(・イアヌーチ)のあの素晴らしい流れ(フロウ)とかさ。
人が自分を良く見せようとしているのがわかってしまうとゲンナリするんだよね。それって絶対によけいな違和感として立ち現れてくるものだから。ただ滑ることが第一で、それが自然に見える、というのが鍵じゃないかな。

では、少し話題を変えて、スケートボーディングとの出会いと、初めて手にしたデッキについて教えて。

DB... 15歳までドイツにいて、スケートに出会ったのもドイツにいた頃だよ。5歳か6歳のときに初めてプラスチック製のおもちゃボードを手にしたんだけど、普通におもちゃのひとつとして遊んでただけだった。真剣にスケートボーディングだ、と思ってやってたわけじゃなくて、ちょっと遊びに使う程度でね。でもそのうちに、近所の子がオーリーで縁石の上に飛び乗るのを見ちゃって、僕らもどうしてもそれを真似したくて火がついちゃった感じだった。その子に『Ban This』のビデオを教えてもらって、そこに登場するトリックを解明するために死ぬほど見たよ。そうやって真剣にスケートしはじめた感じだったね。

その当時のフェイバリット・スケーターといえば誰だったの? ドイツだとスケート雑誌なんかも手に入った?

DB... なぜかTHRASHERが数冊手元にあった気はするけど、僕らが影響を受けたのは『Ban This』に登場するスケーター達だったね... キャブ(スティーヴ・キャバレロ)、フランキー・ヒルにストリート・モンタージュに出てきたガイ(・マリアーノ)やパウロ(・ディアス)とか。多分、僕らはステーシー・ペラルタと彼が生み出したマジカルな感覚... みんないつも集まってセッションしてて、ルックスもイカシてて、というあの雰囲気とか、パートの合間にはさまれるグラフィティのシーンとかに夢中だったんだと思う。めちゃくちゃ影響を受けたよ。
あと、僕らのお気に入りはあのミニ・ランプのパートだったね... セイズ? 名前はなんだったっけ?

ティーヴ・セイズ?

DB... そうそう、あのパートにも相当影響された。確実にヤラレたね。もう少し大きなって、もっと本格的にスケートしだしてからは『Questionable』と『Mouse』にすごくのめり込んだよ。

今だとデニス・ブーゼニッツというと、人はまっさきに「スピード」を連想すると思うんだけど、それこそが君のトレードマークだから。で、変な質問なんだけど、あれだけ速く滑るのは君にとっては自然なことなの? 昔からかなり速かったよね... 少なくとも回りのスケーターよりは。 

DB... (少し間をおいて)う〜ん、たしかに変な質問だね(笑) 

(笑) わかってるよ、だからちゃんと前置きしたじゃない!

DB... (笑)どうやってこの「最速」みたいな冠が僕の「売り」か何かになってしまったのかわからないんだよなぁ。自分ではそんなに速いイメージはないし。僕が人に知られるきっかけになったのがそのままどんどん広まって、人も僕にそのイメージしか見ようとしないから妙なことになってしまった気がする。僕にとっては単に、少しスピードを上げれば退屈なトリックだってもっと楽しくなるよ、という程度のことなんだけどね。(スケートボーディングを)楽しむのに難しいトリックを練習する必要なんてないのさ。(簡単なトリックでも)単純にスピードを上げればちょっと面白くなるだろ? 

素晴らしい答えだね。

DB... まぁ、そんな感じだよ。デッキのデザインでもいつも弾丸とか稲妻とか、僕とスピードを結びつける要素がつきまとってくるんだけど、仕方ないか... みんなに好かれる、良いセールス・ポイントなんだろうね。僕は自分にはスピード以外にもたくさんの持ち味があると思いたいんだけど、人が僕について話すときはスピードの話ばかりだよね。あとはクリス・コールとのSKATEゲームか! もうその話ばっかりだよ(笑) 

その話題にはあえて触れてこなかったのに(笑) REALにはスポンサー・ミー・テープがきっかけで加入したんだったよね? REALが最初のスポンサーだったの? 

DB... いや、REALが初めてのスポンサーだったわけじゃないんだ。カンザス時代にEMERICAのフロー(見習い的な感じで完全にスポンサーについてもらう前の段階)だったことがあるよ。偶然そういうなりゆきになったんだよね。スコット・ボーンがCONSOLITDATEDのツアーで来て、デモをやったときに僕の滑りを見て「どこのシューズ会社ならスポンサーされてみたい?」といきなり聞いてきてね。僕がEMERICAがいいなぁ、と言ったら彼が話をつけてくれて。そこで何人か業界の人に会えて、自分のテープを渡したらしばらくしてDELUXEが拾ってくれて。でもおかしいのはテープに入ってたのがほとんどスケートパークで撮ったフッテージだったから最初はDELUXEも僕にパーク・スケーターとしてやっていってもらいたかったみたいで。

君がサンフランシスコの坂でブチかましてる映像を見てると君がサンフランシスコ育ちじゃないなんて信じられないんだけど、初めてここに来たときからこの街の坂に馴染んじゃったの? それとも...

DB... いやいや、慣れるのに随分とかかったよ。坂だけじゃなくて、この交通量に慣れるのに相当かかったよ。最初はもうビビリまくってた。だって滑りだけじゃなくて、車にひかれる危険性にも注意しなきゃいけないわけだろ? かなり苦労したよ。

シスコの街を滑り倒す、というと誰が最高峰だと思う? 間違いなくジュリアン(・ストレンジャー)とトミー(・ゲレロ)はランク・インするだろうけど...

DB... そうだね。でも坂道のチャンピオン(原文ではhill bombing champion)となるとショーン・ヤングじゃないかな。彼は相当ヤバいことやってたよ。あとはジュリアンのパラシュートを使ったやつとか面白かったよね。

ああ、あのパラシュートのやつは久々に思い出したかも。他にスケートするのに好きな街はある?

DB... ニューヨークはいつだって楽しいね。あとはヨーロッパの街も好きだよ... バルセロナとかベルリンとか。ラブ・パークがあった頃のフィラデルフィアでも楽しく滑った記憶があるけど、最近はその辺りには行けなくて。

君のパートを好きな理由は、君がストリートとトラニーのどちらも乗りこなすどころか、その2種類のジャンルをまたぐようにプール、ランプ、坂からバーンサイド、サード&アーミーといったスポットまでものすごく幅広くスケートしてきたからなんだけど... それこそチャイナ・バンクまでやっつけちゃってるし。やっぱりプロのスケートボーダーにとってはどんな場所でも滑ることができる、というのは大事なことだと思う?

DB... どこでも滑るのが楽しいだけなんだよ。僕は楽しいからそうやって何でも滑るようにしているんだけど、プロ・スケーターにとってはたしかにどんな場所でも滑られる、ということは大切だと思う。スケートボーディングにおいて、自分をある特定のジャンルに閉じ込めてしまうことには意味なんて見いだせないし。ひとつのことを極めることはできるかも知れないけど、そうするとスケートボーディングの他の要素の楽しみを味わえなくなっちゃうよ。

DLX(DELUXE)のツアーにはヤバい噂がつきまとうものだけど、君にとって最高に面白かった、ワイルドなツアーのエピソードっていうと何になる? 良い子ちゃんのフリをするのはやめてね。君がタイアをナイフでパンクさせたシーンはみんな見てるから。

DB... え〜、ワイルドな話なんてないよ... ただバカなだけだよ(笑) しいて挙げるならフランク・ガーワーが僕をナイフで散髪してたときのエピソードかな。イェーガーマイスターをしこたま飲んでグダグダになってた。あれば相当にバカだったな。あの夜、ゴンズ(マーク・ゴンザレス)に「お前は飲み方が下手すぎ」と怒られたよ... あれが一番思い出に残ってるかな。

ゴンズに「飲み方が下手」って言われたの? 

DB... そう。『Real To Reel』の撮影ツアーだった。ゴンズも一緒でみんなイェーガーマイスターのボトルを持ってて、ゴンズはパーティーには参加してなくて部屋で寝てたんだけど、結局、夜中の1時半にホテルから追い出されてね。ゴンズは起こされてホテルから追い出されたのにめちゃくちゃ怒っちゃって、「もう飲むのは禁止。お前は飲み方をわかっちゃいない」てしつこく言われたよ(笑) 

この数年間でかなりの数のパートを作り上げて、手にしてきたよね... まだ若かった『Real To Reel』からホテルでの乱痴気騒ぎも入った『Seeing Double』、すべてをなぎ倒すかのような『Roll Forever』、そして最近のパートまで。その中で一番気に入っているパートはどれ? あと、ひょっとしてそんなに好きじゃないパートもあったりする? 

DB... 全部好きだよ。どのパートも見返すのが楽しいし、僕にとって自分のパートは別に「完成品」とか「成し遂げたもの」という感覚じゃなくて、いつだってその時代その時代の思い出なんだよ。自分が過去にどこに行って、何をしてきたか、といったことの記録。「あぁ、あの日はたしかそうだったね」みたいな。

いまや10年以上REALチームに在籍してきた中で、きっと他の「スーパーチーム」からの引き抜きもあったんじゃないかと想像するんだけど、ずっとREALから離れなかった理由って何? 様々な変化を強いられたスケート業界で、やはりREALも君が加入した頃からだと変わってしまった感じがする? それとも本質的にはずっと同じカンパニーでい続けたと思う?

DB... いや、ほとんど変わってないよ。そりゃ古株が出ていったり、新人が入ってきたりと何人かライダーの入れ替わりはあったけれど、それ以外だとジム(・シーボー)とトミー(・ゲレロ)がちゃんと面倒をみてくれているからね。いつだって彼らが物事がすべてきちんと執り行われているか目を光らせてくれているし、僕にはREALを離れる理由なんて何ひとつなかったよ。考えたことすらないね。

REALでいつも面白いと思うのは幅広い人選でチームを組んできたことだと思うんだよね... メガネッ子のショーン・マンドーリからゾンビランドから抜け出してきたようなピーター・ラモンデッタまで。それでも不思議と各ライダーの色が混じり合ってチームとしてのまとまりを生んでいた気がする。チームからはみ出しちゃってるように見えるREALライダーは存在しなかった。あんなにバラバラな個性がひとつ屋根の下に集まって、ひとつのカンパニーを象徴するなんてね... 各ライダーに共通していて、これぞREALのライダーたらしめる要素っていうと何だと思う? 

DB... 単純にスケートボーディングに対する愛じゃないかな。僕たちはみんな、ただスケートするのを愛してる。だからこそものごとが動いてくれるし、それがみんなに共通する土台なんじゃないかな... あと、他のライダーを馬鹿にするようなマネはしないところかな。そういうイヤな奴がチームにいないのは何かと助かるよ(笑) 

たしかに、それは助かるよね。

DB... (笑) そう、その2点じゃないかな。REALでやっていくならイヤな奴になるな、そしてデッキに乗れることに感謝しろ、てことじゃない?

(笑) なるほど。さて、タンパでの優勝と話題のパートも控えた中で、君は大勢の人たちの2011年度のSKATER OF THE YEAR候補にあがってるに違いないと思うんだけど。まぁ、君の場合は毎年、候補にあがっているようなものだけど、今年こそはいけそうな気がする?

DB... わからないよ。ただただ自分をわきまえてスケートに専念するように心がけている。今年もまだ先は長いから、去年の候補達が再浮上するのは目に見えているし、新たな候補だって現れるだろう。オースティン・ジレットもすごいパートを見せたし、(ブランドン・)ウェストゲートも忘れちゃいけない。彼には何かしら賞を与えるべきだと思う。

2011年、この時代にスケートしていることで一番嬉しいことと最悪なことって何? 

DB... 嬉しいことのひとつは、今ならどうやら年寄りでもなんとか業界でやっていけそうなところかな。いいよね。10年前じゃ30歳を超えてもプロでいられるなんてあんまり普通じゃなかったから。
あとみんなが、毎年毎年、どんどんイカレたことをやってのけるのはすごいと思う。いつだってもうスケートボーディングは限界まで行き着いたと思ったところで誰かがそれを打ち破って先へ進んでいってる。いつだって果敢に挑戦する人たちがいる。そういう連中を妬むべきなのか、「イエェー!」と声援を送ればいいのかわからなくなることがあるけどね。

たしかに、パット・ダフィーが『Questionable』で登場したときにはもうこれですべてが終わった、なんて思ったものだけど...

DB... そう、でもいつだって新しいパット・ダフィーが現れる。

じゃあ、今、スケートで最悪なことって何だろう? 

DB... ストリート・スケートが死にかけている気がして、それが残念だね。どこもガードマンとスケート・ストッパーだらけで、スポットを見つけるのは難しくなるばかり。スケートしようと思っても障害物だらけで、スケートボーディングがどんどんとスケート・パークや練習施設(BERRICSのように、倉庫内に作られたプライベート・パークを指していると思われます)に押し込められているよね。

さぁ、期待の大型作品でどデカいパートを見せてくれて... 次は何が待ってるのかな? 何か予定はあるの? 

DB... いや、たいして大きな予定はないよ。いつもと同じさ。ただスケートし続けるだけ。あとは妻と子供たちがいるから何かと忙しいし。

そして犬もね。

DB... そうだ、犬もいる。ただ犬は子供達に比べたらほとんど手がかからないけど。

(笑) ありがとうデニス、用意してた質問はこれで全部だよ。何か付け加えたいことはある? みんなにメッセージや何かありがたいお言葉でも?

DB... いや、別にないよ。何か思いついたらメールするね。

special thanks to Dennis, Jeff Vallee, Damon Thorley and Deluxe.

デニス本人は「速さ」に対しては実は戸惑っていたんですね。意外でした! 『Since Day One』もますます楽しみになりました。