luecke

夢見る文系スケートボーディング愛好家

JIM GRECO "Year 13"

http://www.thrashermagazine.com/articles/videos/jim-greco-s-year-13-film/

遂にアメリカからこんな詩的なスケート・ムービーが発信されるとは。しかもそれがJim Grecoからというのもさらなる驚き。自ら監督、編集を手がけ、自分のルーツであるイタリアという要素もサントラにふんだんに散りばめることによって伝記的な作品にしあげた20分。ちょっとエモーショナルすぎるスローモーションと同じトリックを繰り返してみせすぎる過剰な演出、レストラン店主の大根役者ぶりと後ろのテーブルに見える番号がなぜ13ではなく15なのか、といった詰めの甘さ(いや、実はそれにも意味があるのかも知れないが)は軽く払拭されるくらいJimは男前でTobin Yellandが撮影した16ミリの映像はひたすらに美しい。Tino Razoの写真集『PARTY IN THE BACK』でも感じたカリフォルニアの太陽の光に宿るマジックはここでも見事に捉えられている。

上記の作品の前編にあたるこちら『The Way Out』も泣ける。12年間、酒とドラッグを断ったままシラフで居続けた自分を題材とした30分の作品。

http://www.thrashermagazine.com/articles/videos/jim-greco-s-the-way-out-video/

Dane Brady interviewed by Pontus Alv - from SOLO skateboard magazine

今回のビデオ『I like it here inside my mind, don’t wake me this time』の中でもっともPontus Alvの映像作品らしい、あるいは1作目と2作目の流れにあるエモーショナルかつ詩的なテイストをがつめこまれたのがDane Bradyのパートだったのではないでしょうか。オールド・スクールに属するようなトリックに新たな命を吹き込み、どの街にもありそうな身近なスポットで縦横無尽に繰り出す彼の滑りは見ていて楽しいし、なんか自分もまねしたくなるものばかり(実際にはものすごくむずかしいのですが...)。そして世の中の流れからはずれた密室芸のようなスタイルをもつDaneがスケートボーディングの聖地のひとつ、ポートランドの出身だとこのインタビューで知ったときの驚きと言ったら...

DVDがリリースされたいま、改めて楽しめるインタビューではないかと思い掲載の許可を得て翻訳させてもらいました。Pontus AlvによるDane Bradyインタビュー、お楽しみください。

Home Alone
- Pontus Alv
interviews Dane Brady

from SOLO skateboard magazine

taken with permission

original interview by Pontus Alv

introduction by Fabian Fuchs

skate photos by Nils Svensson

sideshots by Fabian Fuchs

translated by Katsushige Ichihashi(Luecke)

http://soloskatemag.com/home-alone-pontus-alv-interviews-dane-brady/?lang=en

Daneとの出会いはPontusが見せてくれたPOLARの新作ビデオ用に編集したラフ・カットだった。このパートはまさしくDaneそのものだったため、実際に彼に会ったときはデジャヴとしか思えなかった。Daneはこの夏(2015年)、マルメのヴァイヴを味わったり、Pontusや他のライダーたちとすごしたり、もう何個かトリックを撮影してみたりして自分がどこまでやれるか試してみるために片道切符ひとつでマルメに来てくれた。しかしいまでもDane Bradyとは一体何者なのか、正直、僕にはよくわからない。Daneは寡黙だ。でも、もし彼が口を開いたならよく聞いた方がいい。きっとまだ誰も見たことがないスポットで彼がやってみたいトリックについての話だから。そしてDaneはそれをものにしてしまうだろう。僕からみたイメージはまさに一匹狼。もしDaneが150年前に生まれていたらきっと馬にのってスポットを探しまわるカウボーイだったにちがいない、なんて思う。(序文:Fabian Fuchs)

__Dane、出身はどこ?

オレゴン州ポートランドだよ。

__いまちょうど君のビデオ・パートを編集しているところだけど、せっかくのチャンスだからいろいろと聞かせてよ。まずは最近、21歳になったけどもうニセモノの身分証明を使わなくてもよくなってせいせいしてる? 

そうでもないかな。不便だったのは年上のひとたちと一緒にいるときだけだったから。

__でも持ってたんでしょ? ニセID。

まぁ、持ってたけど、使うのは好きじゃなかったなぁ。使ったのも1回か2回くらいだよ。18、19になればニセIDを持つのが当たり前なだけで。

__何歳のときにスケートボーディングに出会ったの?

高校生になる頃。高校入学直前の夏(アメリカは9月が年度スタート)だったと思う。それまでロングボードを持ってて、坂を滑り降りたりする程度だったけど、その頃に友達がスケートボードを僕の家に置いていっちゃったんだ。それを乗るようになって、友達もそのボードのことをすっかり忘れちゃったからそのままボロボロになるまで乗り潰した。かなり気持ちよかった。

__どんなデッキだったの?

誰が運営していたのかは知らないけど、M&Mという無名ブランド。

__じゃあ最初に自分で買ったデッキは何?

おぼえてないなぁ。でもある日、ずっと乗り続けたボロボロの古いデッキでスケートパークに行ったときに知らないひとに「このデッキに試しに乗ってみる?」と声をかけられて。ちょっと気持ち悪いなぁと思いながらも乗ってみたら「欲しかったらあげるよ。俺は地元に帰らなきゃいけないけどそのデッキを持って帰れないから置いていくつもりだったんだ」と言ってくれてことがあったよ。なんか気味が悪かったけど「まぁいいか」ともらうことにした。BIRDHOUSEのTony Hawkモデルで大きなHawkドクロのグラフィックでインディーのトラックにバカデカいウィールが付いてた。


             No-Comply Polejam

__当時、好きだったスケーターは誰?

Mike CarrollとEMB(サンフランシスコの歴史的なスケート・スポット、エンバーカデロ)周辺のシーンにハマってたね。当時は最高にクールだと思ってたし、いまもまた改めてチェックしてる。最近はNatas(Kaupas)、Tom Knoxや(Sean)Sheffeyをよく見てる。当時から一日中YouTubeを見てた。好きなものがすぐに変わっちゃうからひとつのものを見続けるというより、なんでもランダムに見る感じだったかな。当時、まわりのみんなはチームに所属するような普通のスポーツをするひとばかりで、スケーターは僕ひとりだったからYouTubeしかなかったんだよね。

__一匹狼だったんだ。

そう、家の前とか自分で見つけたちょっとしたスポットで滑ってた。ところがある日、友達からインドアのスケートパークがあることを聞いたんだ。Department of Skateboardingという名前のパークで、初めて行ったときはデッキにクルーズ用のウィールを付けてたくらいで僕は何もわかってなかったけどその場のヴァイヴをすっかり気に入っちゃって、とにかく通い続けた。いまでもつきあいが続いている知り合いとはみんなそこで出会った。居心地がいいと思ったその日から毎日通い続けたよ。

__そのパークはまだあるの?

いや、もうなくなった。隣にCal’s Pharmacy Skateshopがあって、その店も場所は変わったけど、いまそこで働いてるんだ。

__そこで働くようになったきっかけは?

何年間も通い続けて店のひとと仲良くなって、パークが閉まるときのラスト・セッションにもみんなで参加した。でも、店の方も数ヶ月後に閉まっちゃって。なんか当時は不思議な時期でみんな互いにあまり話すことなくバラバラに動いていて、僕もニューヨークに行ったけどうまくいかなくて。店のひとからもう一度スケートショップをやろうとしてる話を聞いて、ニューヨークでも行きづまってたからそこで働かせてもらえないかどうかお願いしてみたんだ。

__ニューヨークに移り住もうとしてたなんて知らなかった。いつ頃の話?

18の頃。でも1、2ヶ月で地元に戻っちゃった。とにかくうまくいかなかった。学校を辞めて16歳から働いてたから貯金があったし、大学に進学する友達をみて自分もとにかく街を出たいと思って。


               Tailslide

__なぜニューヨークがいいと思ったの?

スケーターとして行きたかったわけじゃなくて、ただ興味のある街で他にもそこに引っ越したひとを知ってたから行ってみたいと思ったんだ。

__ポートランドという街はやっぱり大事な存在? 僕から見ると地元とのつながりがすごくあるように思えるけど。僕もどこに行こうが、すぐにマルメに帰ってきたくなっちゃうような人間で。

僕もここが居心地いいと思っちゃう。とくにスケートボードのために他の土地に行くのがどうもだめなんだよね。だっていままでここで全部うまくいってるし。みんなでいろんなスポットを探しまわってきたから地元のひともスポットも知り尽くしてる。いまなら行きたいところに自由に行ける。

__Kevin(Rodrigues)とパリの関係性にちかいね。街を知り尽くしてるからトリックを思いついたときにどこでそれをできるかわかるんだよね。

どんな場所でも自分の思い通りにスケートできるひともいるけど、気持ちよくスケートするためにはスポットの場所が重要な要素になるひともいると思う。僕はいつだって自分がどこにいるのか意識せずにはいられない。それに僕にとってはスポットが家の横や日常の生活圏にある方がぐっとくるんだよね。


             50-50 Hippie Jump

__毎日通るような場所に「いつかあのレールでレール・スライドをかましてみたい、あの壁をウォールライドしてみたい」と思わされるようなスポットがあったりするとたまらないよね。僕の『In Search of the Miraculous』のパートのラスト・トリック、あのボードスライドしたハバ(Hubba)はそれこそ10歳の頃から見続けてきたスポットだったんだ。ポートランドにもそういうスポットがある? 

友達と一緒に、いつかここで誰かが何かやるのかな、なんて言ってる場所が何箇所かあるね。かなりの度胸が必要になると思うけど。僕も何箇所か、いつか勇気が出たらトライしたいと思ってるスポットがある。たとえば25段のまがった階段に付いたキンク・レールがあって、もう何年もあれこれ想像してるよ...

__そしてある時期からTom(Bender)と一緒に撮影するようになったんだよね。ちょっとこっちの話になっちゃうけど、DaneがPOLARに加入した経緯が本当に不思議で。ある日、Waylon(Bone)がYouTubeのリンクを教えてくれたからてっきり2人が知り合いだと思ってたけど、実際はそうじゃなかったんだよね?

Aaron(Herrington)に会ったことはあったけど、Waylonのことは知らなかったよ...

__あれはスポンサー・ミー・テープを作るためにいい素材を撮りためようとしてたの? 

いや、あれはスポンサー・ミー・テープでもなんでもなくて、ただTomとよく撮影してて、彼が勝手に自分のプライベートなYouTubeアカウントにあげちゃったフッテージだった。特に目的があったわけじゃないと思うよ。ニューヨークの友達にリンクを送ったらその友達がWaylonと知り合いで、そこからPontusまでいったのかな。でもどこかのカンパニーに自分を売り込むために作ったものじゃなかったよ。

__そこからどうやって連絡をとったのか忘れちゃったね。ただDaneのフッテージがすごく面白かったことはおぼえてる。誰にも似てないアプローチで、それこそ僕は探し求めていたものだった。当時のことおぼえてる?

たしかメールで連絡を取り合うようになって、そのあとはSkypeでよく話した。Transworldが僕の記事と一緒にオンラインで公開できるようなクリップを作りたがってるからそのフッテージを他で使わないようにした方がいいよ、と言ってくれてたよね。Pontusにフッテージを他で使うのを止められた、と言ったらTomたちが怒ってたよ。でもそんなことを言われて嬉しかった。その後にロスで実際に会ったよね。


          Dane films Pontus’ No-Comply

__あぁ、一緒に消火栓でスケートしたっけ。そして数日間、一緒についてきてくれたんだよね。旅行気分でわいわいやって、Neil Blenderにも会った。あれは伝説的な瞬間だった。あのときの話をちょっとしてくれる?

最高にエピックな瞬間だったね。Tom(Remillard)に会いに行ったらNeilがTomの家のすぐ近くに住んでいたことがわかって、とにかく行ってみよう、となったんだよね。家を見れるだけでもいいか、なんて言ってたけど、最高だった。

__(笑) いやいや、ちょっと恥ずかしいけどNeil Blenderのことになるとただのファンに戻っちゃう。そういえばTomとは古いつきあいで、僕がARCADEのライダーだった頃にTomはよくサンディエゴの僕の家に来てたんだよね。いつも古いデッキをあげてたんだ。そしてある日、「Yo、Tomだよ、おぼえてる? あの頃いっぱいデッキをくれてありがとう、いつも遊びに行かせてもらってたよね?」とベルリンでANTI HEROのライダーになっていた彼に再会した。話は戻って、初めて公式にPOLARのメンバーとして参加してもらったのが『Manhattan Days』だったよね。あれも偶然Daneがニューヨークにいたから参加してもらったっけ。そのままUKツアーにも同行してくれてチームのメンバーみんなに会ったんだよね。

そこまでたどり着くのに1年半くらいかかった。実現したのが不思議な一方、ずっとこのチームに入りたかったし、なるべくしてこうなった気もする。いまでもちょっとびっくりだけど、これ以上最高なことはないよ。

__最近、3ヶ月ほどマルメとコペンハーゲンですごしたし、UKやフランスにも行ったことがあるよね。ヨーロッパとアメリカのちがいってある?

スケートに関してはマルメとポートランドには共通点が多い。タフなスポットとか工場の多い区域とか。でも人間性をみるとヨーロッパのひとたちの方がおおらかかな。アメリカ人の方が意味もなくカリカリしてると思う。ストレスにやられてて、交通状況とかどうでもいいことにいつも怒ってる... あと、ひょっとしたらまちがってるかもしれないけど、食べ物に関して思ったのがヨーロッパの方が食事のときに出される量が少なめだと思った。それはこっちに来るとすぐに気付くね...

__前に最近は古いビデオをたくさん見てるって言ってたけど、古いビデオのどういうところが好きなの? 

当時の滑り方が最高なんだよ。トリックの種類だけじゃなくて、どうやってそのトリックをやるか、そのスタイルとか、ラインの流れとか、すべてがやばい。80年代のスケーターのスラッピーとか最高にかっこいい。もうあんな風にやってのけるひとはいないんじゃない?

__新しいものでいいと思うものもある? 

いまは発表されるものが多すぎて自分の好きなものを見つけることすらできないよ。Kevinがパリで仲間たちとやってることはやばいけどね。あのシーンは本当にやばい。あそこまでクルーたちがまとまってるシーンはいまどき珍しいんじゃない? 

__でもひとりでインスタグラムでクリップを量産するDaneのスタイルもやばいよ。あえてラインじゃなくて細かく編集してトリックを見せる手法がいいね。どうやってあの手法が生まれたの? 

インスタグラムの規定の秒数にどこまでつめこめるか挑戦してみるのが面白いかなと思って。自分で見ても楽しめて、他のひとがスケートしたくようなものをサクッと作ってみようと思った。普通の撮影とちがって、携帯電話で撮るならそこまでシリアスに考えなくてもいいかな、という気にもなれるし。今はそのシリアスにならなくていい、ただ楽しめばいいという側面が一番重要かな。

__それこそがスケートボーディングの原点だよね。ストリートで楽しく遊ぶためのおもちゃなんだから。最近のスケートボーディングはシリアスすぎると思う?

たまにいきすぎることがあるよね...

何か締めの言葉はある? 

POLARと地元ポートランドのみんなにありがとうを言いたい。みんなのおかげで最近はものすごく楽しいよ!

http://soloskatemag.com/home-alone-pontus-alv-interviews-dane-brady/?lang=en

Pontus Alv interview from SOLO skateboard magazine

当初は昨年の5月に発表される予定だったPOLAR SKATE CO.のフル・ビデオ『I like it here inside my mind, don’t wake me this time』がようやく2016年2月11日に遂にプレミア上映され、4月にDVDが発売。まさに待望の作品で、こちらの勝手な思い込みや予想を軽く飛び越えたスピード感と濃密なつくりに度肝を抜かれました。あの多彩な顔ぶれなら90分のビデオだって簡単に作れてしまうところをあえてギュッと濃縮した45分。Pontus Alv自身とマルメの物語は少しトーンを抑えつつ、各ライダーがパートに関係なく随所に登場して何層ものレイヤーがひとつの大きな物語(作品)を構成している。
その世界観をより深く味わう助けになるのでは、と思い、久々にインタビューの翻訳をしてみました。一時は「もうインタビューには応じない」宣言をしていたPontus Alv、でもファンの皆様ならわかってましたよね。ビデオが発表されれば語らずにはいられないことは! その期待通りのインタビューをドイツはケルンに編集部のあるスケート雑誌SOLOがやってくれました。翻訳の許可も快く頂けたのでこちらにて掲載させてもらいます。お楽しみあれ!

INSIDE THE MIND OF
Pontus Alv
an interview from
SOLO skateboard magazine

taken with permission
original interview by Stefan Schwinghammer
all photos by Fabian Fuchs
translated by Katsushige Ichihashi(Luecke)
http://soloskatemag.com/inside-the-mind-of-pontus-alv/?lang=en

フェイスタイムで連絡をとったとき、Pontusはまず拡張を続けるPOLARの本部を案内してくれた。いまやそこにはPOLARのライダーがスウェーデンに来た際に泊まれるようにベッド2台、シャワーにキッチンまで増設されている。「新作ビデオを編集する間にPontusもたまに泊まったりしたの?」と聞いてみたが「それはなかった」と言う。実はPOLARの事務所は家から2分という距離で、これまでビデオを仕上げるときは目が勝手に閉じてしまうまで日夜を問わず編集に没頭してきた彼も今回はできるだけ朝に出勤し、夜には家に帰るという普通の生活リズムをキープすることにつとめたそうだ。Pontusの彼女が、2人がそのヘヴィな制作期間に出会い「これを一緒に乗り切れたら僕たちの関係はきっと永遠のものになるよ」と言われたというエピソードも明かしてくれたほどだが今回はビデオの制作以外にもPOLARの仕事が山ほどあるにもかかわらず、できるだけ計画的に日々のリズムを保って作業したそうだ。しかしiPhoneを持った現代人が完全に仕事から切り離されることはありえるはずもなく、彼は常にチームのライダーたちと連絡を取り合っている。実際に彼はいつだってものごとの中心にいたいし、参加したいし、インスピレーションを与えたいのだ。そういった雑談がやがてこのPOLARの初ビデオ『I like it here inside my mind, don’t wake me this time』に関するインタビューにまで広がった。


          [自宅前でのノー・コンプライ]

流通、販売、商品の制作とすべての工程のインフラを得たいま、僕はライダーたちにも将来、自分で何かを始めてもらいたい、その手伝いをしてあげたいと思っているんだ。ライダーと一緒に成長していくのが大事だし。POLARはプラットフォームなんだよ。もしNils(Svensson)が本を出版してみたいなら僕らが手がけることができる。準備は万端。Tシャツを作ってみたいなら僕らで面倒なことは全部カバーできる。何かを作ってみたいという初期衝動を台無しにするような雑務、工場探しとかさ、そんなことはしなくてすむわけさ。僕がすでにそういった地獄をくぐり抜けてきたからみんなが創作そのものに集中できる環境を用意できる。Bloby’sクルーがブランドを始めたいけどどこから手をつければいいのかわからないというのも無理はないよ。僕も最初はまさにそんな感じだった。

「Inspiring others to inspire themselves(みんなが自分をインスパイアするまでみんなをインスパイアし続ける)」」というあなたの格言ですね。それって今回のビデオのメインテーマでもあるのでしょうか?

最近はすべてを自分で手がける時間がないから、他のひとに参加してもらったり、自分のアイディアを共有したり、ライダーとトリックについて話し合ったりすることを楽しんでいる。監督としてみんなの中に種を植えるような感じ。たとえば自分ではそのトリックを練習する時間がないからHjalte(Halberg)に「ハーフキャブ・キックフリップからバックサイド50-50をやってみろよ」と言ってみたり。そうしたら彼が本当にすぐその映像を送ってくれる。最高だよ。みんな自由でいられつつ、導いてくれる存在がいることを実感してもらえるようなプラットフォームでありたい。とくにKevin(Rodrigues)に関してはサポートしてあげたかった。POLARのメンバーになってくれた頃からすでにすごいスケーターだったけど、まだまだ進化の途中だったから彼を導いてあげたくて。そうしたら彼も自分で新たな方向性を見いだしていろいろと試しはじめた。「この服ってどう? このトリックはどう?」といろいろ聞かれたからいつも「お前のアーリーグラブは超ヤバいから」と応援してきた。そしていまや新しいレベルに達してるよね。みんなを焚き付けるエンジンのような存在になりたい。Fabian(Fuchs)の場合もそうだった。すでに映像や写真のスキルも知識も十分に持っていた彼にある日、古いアニメーションを見せたんだ。僕にとっては神様のような存在で、完全にヴィジュアルだけでコミュニケーションを試みた抽象的な映像作品の先駆者のひとり、Hans Richterの『Rhythmus 21』という作品。もちろんいまだにオリジナルなアイディアもたくさん存在するけど、すべてがやりつくされた時代を生きている僕たちは何かしら影響を受けて、そこに自分なりの工夫を加えるしかないからね。ビデオに使った音楽もそう。すでにスケート・ビデオに使われた曲もあえて含まれている。

そういった過去のスケート・ビデオやその中で使われた曲のどこが好きなんですか?

自分にはOski(Oskar Rozenberg)やDavid(Stenström)たちに過去のすばらしい作品やすばらしい音楽を伝えていく責任があると感じている。Dane(Brady)のパートの曲は古いH-Streetのビデオでも使われていた曲で、Daneの滑りと合わせると本当に感動的だろ? 10歳の自分がH-Streetのビデオをみたときの感動がよみがえる。一度使われたものはもう使っちゃいけないという暗黙のルールのせいでその感動を朽ち果てさせるか、「くそ、もう25年も経ってるからいいじゃないか」とよみがえらせるか、と考えた結果、もう一度この曲をいまのスケーティングと合わせてみんなにみてもらい、新しい世代に歴史を伝えることにしたんだ。実はビデオのクレジットにもこのビデオをチェックしてほしい、とかいろいろ書いてあるよ。いまのスケーターはどの時代のビデオでも分け隔てなく見るからさ。DaneやKevinは古いビデオをたくさん見て過去からインスピレーションを拾い上げて新しいものとかけ合わせている。そうやってアーリーグラブからのレールでのボードスライドみたいなトリックが生まれるわけさ。

私もちょうど世代間についての記事を書いたばかりですが、もう少しその話を聞かせてください。

80年代から2000年代初頭までは暗黙のルールだらけだったよね。90年代はみんな小さなウィールにプレッシャー・フリップをして、決まった格好をしてさ。スケートボードそのものよりもトレンドの乗ることの方が大事だった。でもいまではそんなルールはすべて崩れ去ったと思う。いまは何をやってもオーケー。そしてそれが本来のスケートボーディングのあるべき姿だ。見た目やトリックで他人にとやかく言われることはなくなった。自分を自由に表現できる。ストリート・スケーティングの創成期にMark GonzalesやJason Leeが身の回りのすべてを使って実験していた頃のようにね。ところが当時はなぜかスケートボーディングにもルールや枠組みが必要だと言われだした。スケートボーディングをネクスト・レベルに引き上げなきゃ、という強迫観念みたいなものがあったんだろうね。そして僕たちは結果的にはスケートが退屈なものになってしまうところまで突き進んでしまった。ひたすらありえないようなレールでありえないようなトリックをやることに命をかけてた。みんなソウルを失ってトリックを量産するマシーンになってしまった。でもいまではそのソウルを取り戻したと思う。もちろんいまでもトレンドは存在するけど、スケートボーディングはかつてないほど自由なものになった。バートを滑ってからマニー・パッドで練習してもいいんだよ。そういう自由は大歓迎だし、POLARもいろんな種類のスケーティングがある自由なチームを目指して作ったんだ。スケートボーディングのすべてのスタイルが大好きだから。

スケートボーディングもポスト・モダンに時代に突入したわけですね。もはや何でもあり。

そう、サッカーのようにね。トータルフットボールというコンセプトはいいよね。以前はサッカーも選手がフォーメーションの中で決まった役割を担っていたけど、いきなり「この選手が後ろにいたと思ってたって? いやドカンと得点を決めてぞ!」という調子で循環してプレイするようになり、その予測不可能な状況が見る側にも楽しみを与えている。スケートで言えばスラッピーからフリップやスライドにいくような感じ。すべてをミックスさせて、ボードの種類や服装もすべて自由。すべての要素がかみあう最高の時代になったと思うよ。だからADB(Already Been Done=すでに誰かがその場所でそのトリックをやった)とか「いや、その曲はもう使われてるから」とか「だめだめ、頭が写真からはみ出しちゃってる」なんていうルールをどんどん壊していきたいんだよ。それがどうした?て感じだよ。頭が切れてても写真がヤバけりゃいいじゃん。写真に込められたエネルギーが大事なわけで、その感情の爆発を表現したり、伝えるための手段なんだから誰かが決めた良い、悪い、なんて判断基準はおいておこうよ。

いまがそういった夢のような時代だからこそ、このタイトルになったのですか?

タイトルの元ネタは『Now ‘N’ Later』というPLANET EARTHのビデオのBrian Lottiのパートなんだ。革新的なパートでいまでも十二分に通用するようなモダンさがあると思う。子供の頃はそれに使われた音楽も大好きでね。すごい激しいパートからインストのようなオルタナティヴな曲調にシフトするところとか。Kevinは自分のパートにパンクな曲を希望してたんだけど、ずっと同じような激しい曲調だと編集が厄介だと思って変化のあるこの曲にしたんだ。今回のビデオに関してはみんなに参加してもらい、みんなに自分のパートや曲に満足してもらいたかった。昔みたいに撮影した素材を全部送ってあとはできあがった作品をもらうだけ、というようなことにはしたくなかった。2年もかけて必死にパートのために撮影して、ある日、郵便受けにVHSのテープが届いて、見てみると自分のパートに嫌いなアーティストの曲が使われてる。Cakeの『Distance』。いまだに根に持ってるからね。そういった経験からチームのボスとしてライダーに何をしちゃいけないかは学んだつもり。「うるせぇ、俺はやりたいようにやる!」なんてのは最低だろ。

以前にKevinにインタビューした際、彼がどのフッテージを送るべきか悩んでいると言ってました。送った素材はすべて使われる可能性があると思うと考えてしまうのでしょうね。パートの構成に関してはあれこれ注文が多かったですか?

KevinはPOLARに来る前から僕の大ファンで、彼にとっては僕の作品に参加できることは光栄なことだったらしいよ。もちろん彼はパートを完璧なものにするためにすべてを捧げてくれた。Kevinは考え込むたちで気性も激しい。ひとつのことに没頭する性格で、たとえばスラッピーとか、特定の服装のスタイルとか、こりだすとそれしか見えなくなる。ところが3ヶ月もすると新しいものをみつけて、それまでやってたことはもう古いと思っちゃうんだよね。POLARのパートを撮影し終えたあとにスキンヘッドにしちゃって、スケートのスタイルまで変えちゃったくらい。フル・レングスのビデオは進化の過程を見せるものだけどね。Oskiの文字通りの成長も見られるよ。撮影が始まった頃は身長がいまより30センチ低かったからね。そういった過程が作品に物語をあたえ、深みを生み出す。

今回のビデオとこれまで作品のちがいは何でしょう?

同じだよ。毎回、前よりもいいものを作ろうと必死にやるだけさ。今回は素材がたくさんあってより好みする余裕があったからスケーティングのレベルは以前よりも高いと思うけど。誰の、と名前をあげるつもりはないけど、大量のフッテージを送ってくれたにも関わらず、内容が気に入らなくてほとんど使わなかったライダーもいる。いいひとだと思われるためだけに興味の持てない素材を使うことはできないからね。数年分のスケーティング素材、スーパー8で撮った素材、アーティスティックな素材の山を前にして、編集という旅が始まるんだ。素材が何を見せていて、自分が何を見せたいかを自問する。ずっとやってみたかったことのひとつに自分の人生を変えてくれたスケート・ビデオの歴史に敬意を表することがあったけど、旅がどこに行き着くかは最後までわからない。でも結局はどの作品もその時点でのスケートボーディングに対する自分の精神状態を映し出すものになるよ。

ビデオの編集の他に自分のパートの撮影、そしてPOLARの運営もあったわけですが、そういった要素も作品に影響を及ぼしていますか? 

スウェーデンと周辺に住んでるライダーの撮影はすべて自分が担当したけど、POLARはインターナショナルなチームだから全員と毎日撮影するわけにはいかなかった。遠くに住んでいるライダーにはそれぞれ別のフィルマーがついていたよ。そこで一番困ったのが素材が10から15種類の別々のカメラとフォーマットで撮影されていたことなんだ。VXでのNTSC方式からありえないフレームレートのHDまであって、Aaron(Herrington)なんて2年分の素材のうちフレームレートのせいで使えたのがトリック3つだけだった。こっちで素材を変換するのは無理だってことが判明した時点でAaronはパートを撮影しなおすしかなかった。でも彼は世界一、生産的なスケーターでパートをひとつ仕上げるなんて朝飯前。1ヶ月もあれば十分なんじゃないかな。彼なら一日中ヘヴィな撮影をこなせる。Daneの場合はVXで撮影された素材を22%引き伸ばす必要があったからフッテージの画質が最初の段階でいまひとつだった場合、問題も大きくなった。僕が映像にかけるフィルターの数々はAdobe Premierの性能の限界まで引き出したと思うよ。このビデオのリタッチ作業は狂気だった。作品を見る側にはそれぞれの素材の色をいじっているとかそういった制作工程に関しては気付かれたくないよね。ひとつの作品として受け取ってもらいたい。でもたしかに色々と大変だよ。質問の通り、僕はツアーに出てライダーを撮影する以外にもチーム・マネージャーとしての仕事から経理までPOLARのすべてを管理する必要もある。そしてスポットを前にして「うわ、これはヤバいスポットだ! 10分くらいウォーミングアップすればここでキックフリップを試せるかな」なんて思っていると次の瞬間にHjalteがウォーミングアップがわりにそこでキックフリップしてる、なんてことがおこる... そうなったら僕は座り込んで撮る側にまわるしかないよね。年寄りの自分とキャリアの絶頂にいるライダーたち。たまに彼らがすごすぎて一緒には滑られないと思うこともあるよ。

それでも今回もあなたは良いパートを残せましたよね。

実はもう自分のパートは作らないつもりだったんだ。絶対に無理だから、と自分に言い聞かせようとした。でもやっぱりやってみたくなって昨年の春から秋にかけて僕とフィルマーのThor(Ström)だけで撮影するソロ・ミッションの機会を何度か設けた。毎回、一週間ほど出かけて。でも大変だったね。POLARのプロダクツの制作、毎期のリリースにボード・グラフィックのデザイン、カタログ制作とカンパニーを運営し続けるだけでもすごい仕事量なのに同時にスケートして、撮影して、編集もして。狂ってるよね。ひとりで仕事を10個かかえてるみたいだ。

このインスタグラム時代にあって、フル・レングスのビデオを作る意義は何だと思いますか?

そりゃちょっとツアーに行って3ヶ月くらいで撮影して10分ほどのクリップを作ることもできるよ。これまで2つほどそういうプロモ・ビデオを出したわけだし、実際、その方法でやり続けようと思っていた時期もあった。ああいう小作品というかパワフルなプロモ・エディットを見るとスケートしたくなるよね。でもフル・レングスはやっぱり別格でカンパニーにとっても、ライダーにとっても最終関門だと思う。プロモ・ビデオに参加するためなら見せ場のハンマー・トリックを2つとラインをいくつか撮れたらできあがり、という感じだけど自分のフル・パートを作るということはものすごい労力をかけて自分のスケーティングと向き合うことを意味する。だからこそ新たな深みも獲得できる。そしてブランドとしても全体像を提示することが重要で、物語を語るにはどうしても45分という時間が必要になる。これでファンもようやくライダーを存分なまでに堪能できるし。Hjalteのファンなら彼だけを5分間、たっぷりと味わえる。でもこれは決して簡単なことではない。誰にでも45分のフル・ビデオを作れるわけじゃないからね。VANSを見てみなよ。VANSのシューズは大好きだけど、あのビデオは見てられなかった。何百万という予算と、5年もの歳月をかけたのにできあがった作品はあんな目もあてられないものになっちゃうだなんておかしいよね。最高のスケーターに最高の機材、そして膨大な予算とすべてが揃っていてもダメなときはダメなんだ。フル・レングスは最初から最後までとちゃんと物語を成立させないと。Andrew Allenのパートはヤバかった。そしてDustin Dollinも良かったけどそこからAVE(Anthony Van Engelen)にとばしちゃうんだよね。でもフル・レングスはそうやってとばして見るものじゃないだろ。自分の好きなパートだけをつまんで見るんじゃなくて、『Video Days』や『Hokus Pokus』みたいに一度プレイヤーに突っ込んだら最後まで丸ごと見るのがフル・レングスってものさ。

いつか人々がネット上にあがっている無数の短いクリップに飽きてフル・レングスが再び主流になる時代が来ると思いますか? 情報過多時代はもうそこまで来ていると思いますか? 

情報過多に関してはとっくの昔に一線を越えてしまっている。どのブランドも毎月新しいクリップを発表しなきゃいけないと思っている。新商品、新しいシューズのリリース、新しいパートに新しいアレだか何だか。毎日市場に何かを投入し続けている。いいかげんに誰かが考えるべきだと思うよ。「これってヘルシーだと言えるのかな? 世界中にスケートボーディングが溢れかえっているこの状況って大丈夫なの? 世の中に出回っているうちの98%はどこかのタイムラインにのせられた、ただ滑っている映像にてきとうな曲をあてがっただけのシロモノだぞ」ってさ。でも誰も考えてないよね。「ちょっと待てよ。スケートボーディングってこんなものじゃなかったはずだ。曲にのったハンマー・トリックがスケートのすべてかい? 誰かもう少しアーティスティックな作品を作ってもいいんじゃないの? ちゃんと世界観とか色彩があって、もう少しディープなもので、つながりが感じられるような、魂のこめられたようなもの。」なんて思うんだけど。僕はNeil Blenderがスーパー8で撮影した落書きとかロボットのおもちゃとかビーチでの生活を見せてくれるようなALIEN WORKSHOPの古いビデオとか大好きだけどね。そういうたわいもないシーンが実はスケートだけでは伝わりきらない要素を見せてくれるのさ。もちろん誰だって自分の好きなスケーターのヤバい滑りを見るのが一番好きだろうけど、僕はそのスケーターの内面や彼が生きるカルチャーについても知りたくなる。ただ誰かがすごい所から飛び降りるのを見るだけだなんてつまらないよ。もちろんそういうパートで良いものもあるよ。うまく作られていればすごいパートになる。でも僕はそれ以上のものが見たい。僕が見つけた法則があって、これ内緒だよ、人間の脳が集中してスケートボーディングを見ていられる時間はたった30秒なんだよ。それを越えると何かしらの休憩が必要になる。つまりアーティスティックなシーンや他の要素をはさみこんであげないといけない。そうやって脳が休める瞬間を与えてあげるのが大事でひとは一瞬でも休めたらまた集中モードに入れるからそこからまたスケートのシーンをブチかませばいい。僕もよく好きなビデオを見ているのに集中できなくなることがある。情報が多すぎるんだよね。脳がもう受けつけなくなっているのにビデオの方は無理やりにすすめようとする。「ほら、まだまだあるぞ! どうだ、これヤバいだろ!」という調子だけどもはや何の意味もないんだよ。ハンマー・トリックがぎっしりつまった3分間のクリップを見たところで脳がヤラレるだけで見終わった瞬間から自分が何を見ていたのか忘れてしまう始末さ。とにかくテンションの高いスケーティングをものすごい量見せられてもさ、見終わるとまずその激しいパートが終わってくれたことにほっとしない? そうしてぐったりしてるところに2曲目が来る。スローモーションのパートにさっきよりもさらにすごいスーパー・スーパー・ハンマー・トリックの応酬。いま出回っているビデオの98%はそんな風に思えるんだよね。見ていると気持ち悪くなるし、自分がダメ人間に思えて仕方ない。もう少なくとも1週間はスケート・ビデオなんて見たくない気分にさせられるし、ビデオに出てくるトリックで自分にできそうなものがひとつもないなんて最悪だよ。だから普通の、人間味のあるスケーターが見ていて楽しいと思えるようなことをスタイリッシュにやってくれるというのがスケート・ビデオにとって一番大事な要素だと思うんだよね。近所でスラッピーの50-50をしてるシーンとか最高じゃない。こっちの気持ちもアガるようなフィーリングと音楽、そして街に飛び出したくなるような衝動。自分にもできるかも、と思わせてくれるようなトリック。スタントマンが演じているヒーローもののハリウッド映画が見たいんじゃない。ビデオに登場するスケーターとつながっている感覚を味わいたいんだよ。すごいスケーターたちがスケートボーディングのレベルをどんどん押し上げていくのもすばらしいと思うけど、ビデオを見る側としてはまったくつながりが感じられない。そしてビデオにとってもっとも大事なのが見る側とつながることなんだよ。そして強弱も大事。スケートボーディングには独自のダイナミクスがあるんだ。ちょっとチルな、静かな瞬間からドカンとヤバいハンマー・トリックが炸裂するのが一番効果的で、そこからまたわかりやすい、共感できるようなトリックに戻ってからまた次のハンマー・トリックが来ればトリックもより際立つ。ハンマー・トリックを200個連発したところで何ひとつ生まれないよ。

すでにHans Richterや過去の名作スケート・ビデオから多くのインスピレーションをもらったと言ってますが、他にも今回のビデオに影響を与えたものはありますか? 

ビデオ作りは毎回、旅みたいなもので計画なんて立てられない。ただ何が起こるかを見守るしかない。とにかくライダーたちと滑りに行くのみ。その現場にいるのが一番好きだし。コーチとか監督みたいな気分さ。たとえばHjalteがこれをやってみたいと言ってきたとする。そうしたら僕は「うん、悪くないけどトリックの流れがいまひとつじゃないかな」なんて助言をするんだ。バックサイド・キックフリップからのハーフキャブ・キックフリップにはフローがあるけど、バックサイド・キックフリップからフロントサイドのハーフキャブ・フリップだとフローがないだろ? 自分の体がどういう風に回って、カメラがどこからそれを撮っているのか、常に動きを意識しないとね。トリックの難易度があがるかもしれないけれど、絶対にその方がよいフッテージになると思うよ。一緒に撮影するときはいつもそうやって細かいところでアドバイスするようにしている。

常に撮影に同行できないあなたにとってはPOLARのWhatsApp(チャット・グループ)があって助かったことも多かったのでしょうか?

そうだね。みんなまずそこにフッテージを送ってくれて、そのフッテージを見て他のみんなが「うわ! それヤバいね」と自分たちも撮影に行きたくなる。まさにチームの団結の場で、僕はその中心でみんなの様子を見ていられる。トリックが超ドープだけど撮影の仕方がいまいちだな、なんて言うとそれを撮り直してくれることもあった。そういったコミュニケーションを通して僕も常に参加し、自分の意見も反映してもらうようにした。ほとんどのフィルマーは僕の好みを理解してくれているからこの方法でもうまくいく。そういえば先にスポットの映像だけ送ってくれて、どうやって撮るのがいいか相談されたこともあった。そうやって常にみんなで最高のフッテージを作ろうとしてきたんだ。スケーティングは50%が滑りそのもの、そして残り50%は撮影方法にかかっているからね。スケート・ビデオを見ていてラインがすごくいいのに撮影の仕方がいまいちだなと思うことがよくあるよ。いままでに何度もラインをただ後ろから追いかけて撮っているのを見たけど、それって最悪の撮影方法だからね。僕がいつも心がけているのは見る側に「先」を見せないようにすること。後ろから撮ってしまうとスケーターがどこに向かっているのかがわかるし、ボード上の足の位置で次のトリックが予想できてしまうだろ? だからラインはいつもスケーターの前から撮りはじめる。そうすると見る側は展開を予想できない。そうやって情報量を減らす、ものごとを隠すことによってその後の展開がよりドラマチックに、よりエネルギーのこもったものになるわけさ。この手法に関してはズームや顔のアップを多用する(Will)Strobeckが最高にうまいと思う。シーンが汗だくのSage(Elsesser)の顔の表情から始まって、ズームが引いていくとフルスピードでレールをグラインドするところを映し出す、とかね。大してスケートがうまくないフィルマーが撮ったスケート・ビデオが多すぎるんだよ。なぜか有名ブランドの専属フィルマーになっちゃったようなひとがそこのスケーターについていこうと必死になっているだけ、とかさ。(こんなネガティヴなことばかり言って)ごめんね。でもこういうビデオにとってはものすごく大事なことなんだよ。もちろん、後ろから撮るしかないようなケースもある。でも僕ならできるだけスケーターに食らいついて、並走したり、またあえてスケーターを前に行かせてから再びその前に回りこんだり、といろいろするよ。MAGENTAがもっとも得意とするあの手法さ。フィルマーが常にスケーターのまわりを動きまわって映像に刺激を加えるんだ。


http://soloskatemag.com/inside-the-mind-of-pontus-alv/?lang=en



久々のPontus Alv節、いかがだったでしょうか。

Pontus Alv自身とマルメの物語は少しトーンを抑えつつ、各ライダーがパートに関係なく随所に登場して何層ものレイヤーがひとつの大きな物語(作品)を構成している。そのあまりに速い展開と、内容が濃密で一度には消化しきれないこと、そしてこれまでの作品は自分にとってほぼ初めて見るシーンばかりで構成されていたのに対し、今作はすでに雑誌やPOLARの広告にて写真という形で体験した場面の映像が多数登場することもあって前作を初めて見たときほどの衝撃は正直、受けなかったのですが、これはおそらく見れば見るだけ好きになっていく1本だと思いました。あるいは内容が良すぎて「もっと見たい!」と思ってしまうことと「物足りなさ」と勘違いしているのか...

DVDもあえてチャプターにわかれていないのが昔のビデオテープぽくて面白い。きっと今回はいわゆる「パート」という概念を崩したかったのでしょう。またインタビューでも語っているように、あえて昔のスケート・ビデオに使われた曲でも遠慮なくサウンドトラックに使っています(他の曲もPontusの趣味を反映したニューウェーヴィーなものばかりでニンマリとさせられる)。そして過去の彼の作品に登場したイメージ・シーンもいくつか再登場します。前2作にもそういった要素はありましたが、今回はより大胆です。

「スケート・ビデオはこうあるべき」という暗黙のルールをやぶり、映像作家としてのPontus Alvのこれまでのすべてをこめた到達点でいて、POLAR SKATE CO.としては高らかにスタート地点に立った作品ではないでしょうか。この先も楽しみでなりません。

Fabian Fuchs interview from SOLO skateboard magazine

こちらは2016年2月11日、コペンハーゲンで催された『I like it here inside my mind, don’t wake me this time』の記念すべきプレミア上映会の取材の一環で実現した、ビデオの編集の段階でPOLARのクルーに加わったドイツ人クリエイターFabian Fuchsのインタビュー。作品がリリースされたいまでは少し情報が古くなってしまっているかもしれませんが、いちファンの彼がビデオの編集に関わった経緯や制作の舞台裏を垣間みることができる内容だとおもい、翻訳させてもらった次第です。Fabianもインタビュアーもドイツ人、ということでドイツ語バージョンの方を翻訳してみました。そのため英語バージョンとは表現が異なる箇所もあると思いますが、そこは翻訳の七不思議(?)だと思ってお許しください。

またSOLOのホームページには上映会の様子が見られるフォトギャラリーもありますので是非ともリンク先の元ネタページもご覧下さい。

Fabian Fuchs interview
from SOLO skateboard magazine web article
POLAR VIDEO PREMIERE
– GALLERY & INTERVIEW

taken with permission
original interview & photo by Stefan Schwinghammer
translated by Katsushige Ichihashi(Luecke)
http://soloskatemag.com/polar-videpremiere-gallery-interview/?lang=en

遂に待ちこがれたPontus Alv氏の3作目にしてPOLARの本格ビデオが遂に完成した。コペンハーゲンのPumpehusetにてワールド・プレミア上映会が催されたが、もしもあなたの街でも上映会が予定されているなら是非とも足を運んでもらいたい。まちがいないから。昨日、そのプレミアの会場にて今回Pontusのビジョンを具現化をサポートしたシュトゥットガルト出身のFabian Fuchsにも話を聞くことができた。

ビデオについて語るのはいつだって難しい。結局、自分で見てもらうのが一番なのだが、それでもあえて一言、「このビデオはあまりにもスケートボーディングそのものすぎてスケートボーディングであることに気付かないほど」。え?意味がわからない? Pontusはいつもスケーター以外のひとにも興味を持ってもらえるような作品を作ることを心がけていたため、作品にはスケートボーディング以外のテーマもこめられてきたが、今回は完全にスケートボーディングのみであるためにもはや「そのもの」であることすら感じさせないほどなのだ(もちろんこれまでのように複数のレイヤーが織りこまれているのだが、作品の鮮烈な印象がそれらをかき消してしまったようだ)。

説明するのが難しいが、とにかくものすごいスピードで見る者に迫りくる。すべての要素が複雑に編みこまれ、自分が一体誰のパートを見ているのかわからないほど。Pontusはあえてひとりのスケーターをメインにすえる現在の主流といえるパート制度ではなく、全員のスケーターが入れ替わり立ち替わり登場する前菜〜主菜〜デザートのような料理のコースにちかい構成をとったのだ。爆進するジェットコースターのようで、初めて見終わったあとには作品のタイトルすら忘れてしまうほどだったが、Bloby’sとKevin Rodriguesの印象は強烈だった。

とにかく自分もスケートに行きたい気にさせられるし、(DVDがリリースされて)また何度でも繰り返して見られる日が楽しみで仕方ない。数カ所でのプレミア上映が終わればDVDが発売され、ネット上で限定のライブ・ストリーム公開もされる予定だ。その日までは代わりに『The Strongest of the Strange』や『In Search of the Miraculous』を引っ張りだして我慢するしかない。

P.S. ネタバレ注意 - 今回、Pontusはフルチンにはならない。

Fabian Fuchsは自分から動いてみることこそ成功の鍵であることを証明している。Pontusと仕事をしてみたかった彼はたった一通のメールをきっかけにマルメに移り住み、POLARの事務所でビデオの編集にたずさわるところまで到達したのだ。Pontusはもうインタビューには応じない、作品にすべてを語らせると公言しているので(注:このインタビューの時点ではまだそうでした)、我々はFabianから今回の作品についての情報を聞き出そうと試みた。

やぁFabian、まずはPOLARで働く前に何をしていたのか教えてもらえる?

法学部に入ったけどすぐに辞めちゃって、ある代理店でアート・ディレクターとして働きながらメディア関係の勉強をさせてもらって、最終的にはIHK(ドイツの商工会議所)から奨学金をもらったよ。その奨学金のおかげでここまでこれた感じかな。

ということドイツ商工会議所がPOLARのビデオを支援した、てわけだ。

たしかにそういう言い方もできるね(笑) ずいぶんと迷っていたんだけど、ある日、いろんなところにメールを出してみたんだ。実はニュージーランドに行ってビデオ制作に関わる話も決まりかけていたけど、Pontusから「興味があるから一度会おうぜ」と返事が来てね。

Pontusに自分を売り込んだ、ということ?

なにか一緒にやってみたいと思ったひとたちにただ普通にメールを送っただけだよ。Pontusのメール・アドレスも偶然見つけることができてね。でも3ヶ月間は音沙汰無しだった。ところがある日、返事をくれてコペンハーゲンで会うことになった。そのままマルメに行って街を案内してくれて、僕にできることに関しても少しだけ話をしたかな。当初の計画では僕はPOLARのアパレルやプロダクツ関係を手がけるはずだったんだ。代理店で映像やアニメーションもたくさん手がけていたことを言うチャンスがなくて本当はそっちの方が得意だってことはPontusも知らないままだったなぁ。しばらくは携帯メールでアイディアを交換しあう日々が続いた。たとえばPontusが自分の好きなアニメーションを教えてくれたりして彼のビジョンを共有してくれようとしたんだ。あるとき、フォルクスワーゲンのヴァンでハンブルクからシュトゥットガルトに向かっている間の5時間でいちからiPhoneだけでアニメを作ってそれを送ったことがあって、それを見たPontusが「よし、わかった、すぐにこっちに来てくれ!」となったんだ。去年の春にマルメに引っ越して、そこから少しずつ作業しはじめた。僕はそのままアニメーション担当になった。まずはどうやって一緒に作業するのがいいのか、という試行錯誤もあったけれど、そこから自然と発展していったよ。ちょっとしたクリップからどんどん作品が増えて、さらにモンタージュ用に映像を撮りにいこう、ということになった。これまでならPontusが三脚とカメラだけでひとりでやるような作業だったけど、もうすこし作りこんだものを撮るためにもまずは彼の信用を得る必要があった。

ではこの1年で一緒にビデオの編集をしてきたわけだ。

Pontusはその前からすでに編集を始めていたはず。僕はちょうど編集期間の真ん中あたりから参加した。ふたりで色々と調整しなおしたよ。どのシーンも5回くらいはやり直したかな。ちょうど編集の真ん中あたりから始まった共同作業は議論と狂気に満ちあふれたものになったよ。

Pontusと作業するのはどんな感じ?

もちろん最高に刺激的なのはまちがいない! 「大変だ、しんどい」なんて言い方もできるけど、その苦労はなにかしらの形で必ず報われるものなんだよ。僕はあの場にいられたことにものすごく感謝している。最初は一緒に事務所に行って作業をしていたんだけど、後半になると毎晩、自転車で街に出て作品について語り合った。もはや仕事なんかじゃなくて、作品の中を生きていたんだよ。夏にはチームのみんながマルメに集まってきてよく一緒にスケートしたり、撮影したりしていたし。

Pontusが他人を編集に参加させたのは正直、驚きだったよ。ひとりで地下室にこもって狂ったように編集する、というのがPontusのイメージだから。

作業を始めた当初はそういう感じだったみたい。でも共同作業になってからは本当に一心同体だった。まずはお互いを知る必要があったけどね。そしてPOLARといえばPontusにとっては自分の子供のような存在だ。彼はPOLARのためならいつだって全力を尽くす。メンバー全員がそれぞれのビジョンを実現できようにしてあげるんだよ。まさにあのフレーズ「Inspiring others to inspire themselves(みんなが自分をインスパイアするまでみんなをインスパイアし続ける)」。実際には難しいし、大変なんだけどね。

POLARが発表し、発売するものの量を見るとPontusが1日を48時間に拡張できたとしか思えないもんね。

たしかにいつ寝てるんだろう、という感じ。かなり狂ってるよね。朝から風呂に入りながらメールをチェックをしてそのあとはひたすらビデオの編集しつつ、いつの間にかプロダクツの制作もやってのけているんだから。さらにチーム・マネージャーとしてみんなを動かし、ときにはカウンセラー役までやっているよ。たとえば去年、みんなで彼の誕生日を盛大に祝ったときの話だけど、普通ならそのあと何日か休むと思うんだよ。ところが彼は次の日には僕らを連れて出かけて、コンクリートをこねてDIYスポットを2つ作ったよ。二日酔いのときでそんな調子なんだよ(笑)

撮影の方も実はPontus以外にたくさんのフィルマーが手がけていたらしいね。

そうだね。もちろんPontusが撮影した素材もたくさんあったけど、参加したフィルマーの人数を見るとすごいよね。Thor(Ström)がかなりたくさん撮ってた。彼も当時、事務所に寝泊まりしていたメンバーのひとりだった。

そのことで作品のテイストが変わったと思う?

それはないかな。フッテージを送ればそれがそのままビデオに使われるわけじゃないからね。かなりすごいトリックでも撮り方が作品に合わなくてボツになったものすらある。

スパイシーさが足りなかった?

まぁ決定権はPontusにあるからね。とはいえ、膨大な規模の共同作業でもある。Pontusが作品の方向性を提示し、みんなも彼のスタイルや彼が何を欲しがるのかはわかっている。でもフッテージが世界中から届くからね。

この作品をひとことで言うと?

ひとことで言えば「ジェットコースター」。ふたことなら「カラフルなジェットコースター」。とりあえず退屈はさせないと思う... 3作目としてこれまでの流れに属しつつも、単独作品としても存分に魅力と存在感がある。ちょっと大人になったとも言えるかな。とにかくカラフルで様々な要素が絡み合っていて、スケート・ビデオにしてはめずらしく濃密でソリッドな作品。ハンマー・トリックの連発みたいな典型的な作品なんて作らないようなひとだからこそ僕もPontusにメールをしたわけだけどね。作品の中にいろんなレイヤーがあって、多層的にいろんな物語が語られるのが彼のスタイルであって、今回もいろいろと織りこまれているよ。ほとんどのものはかなり抽象的だから背景を知っているひとにしか作品を通して何度も登場し、伏線となって織りこまれている物語を読みとくことができないかもしれない。でもその真意を正しく理解する必要もないと思う。ただすべての要素には結びつきがあって、みんなのスケート・シーンも同じように絡み合っている。すべてが作品という形に集約されていて、すべてが心の奥底から生まれているんだ! ライダーがお金で寄せ集められただけのチームなんかじゃなくて、本当の仲間だっていうこともわかると思うよ。

http://soloskatemag.com/polar-videpremiere-gallery-interview/?lang=en



いかがでしょうか。ライダーのみならず、映像や写真でもあらたな才能をどんどん引き入れるPontusの姿勢や今回のビデオの製作現場の雰囲気を感じることができたのではないでしょうか? Fabianのホームページやインスタグラムのアカウントもかなり面白いのでおすすめです。
http://thefandfandf.com/
https://www.instagram.com/thefandfandf/

『根っこは何処へゆく』


このブログを通じて知り合い『Format Perspective』の字幕監修も一緒に手がけた野中克哉の企画・編集・監督作品。スケーターで尺八も吹く彼が尺八の置かれた状況と近年幾度目かの大きなブームを迎えて日本でも世間の認知度や注目度があがる一方のスケートボーディングをめぐる状況に共通する危機や疑問をドキュメンタリーという形でとりあげた映画です。

尺八とスケートボーディング... 普通の人なら共通点なんて何ひとつ見つけられないかもしれませんが実際に野中くんが両方ともやっていてバリバリ共通するものがあると感じたのだから仕方がない! だまされたと思って観て頂戴。どちらも社会からちょっぴりハミ出した連中が始めた文化や芸術なんて安易な枠を飛び出したり、飛び越えたりするためにある道具のような存在だったのです。しかしどんなに革新的なムーブメントもいざ次の世代に受け継ぐ段階に来ると様々な問題に突き当たります。また社会からの圧力、あるいは多数派による一見「公正」にも思える同調圧力のような逆らえない流れによって本来の道からどんどん離れていってしまうことも起こります。

経済的に成長し続けることを呪いのように課せられた現代社会に対する警鐘とも捉えることができる作品だと思います。自分はスケートボーディングをとりまく状況をある程度は見てきましたので尺八の世界に起きてきたことを非常に興味深く拝見しましたが、どちらの世界もあまり知らない人がこの映画を観たらどんな感想をもつのだろうかとこの数日考えてきました。

その映画『根っこは何処へゆく』の初めての一般上映が映画祭シネマストリートフェスとなります! 7月18日(土)の午後に何度か上映され、最終上映後には野中くんと映画に登場した人によるトークも予定されているそうです! スケーター側からは宮城豪さんが参加予定とのことですが、どうかご自身で事前に情報をご確認ください。
http://volunteer59.wix.com/csf2015#!plate/c1nm0
上映会場 salon i'ma/神戸市兵庫区東出町3-21-2
http://www.wonderful-o.com/ima/

http://futureisprimitive.com/

『Where We Come From』


ドイツ人スケーター、Lucas Fiederlingによるビデオが今週開催されるストリート系の展示会BRIGHTでプレミア上映されるそうです。

フルパートが披露される予定のメンツがChris Pfanner、Willow、Marty Murawski、Eniz Fazliov、Niklas Speer von CappelnやPhil Zwijsenなどとヨーロッパ・シーン好きには堪らない組み合わせではないでしょうか!? ホームページを見るとDVDも発売になるような... 楽しみに待ってます!

http://wherewecomefrom.eu/

『From Dirt to Dust + Out Of Steppe』BOOK/DVD


2004年にCARHARTTのスケート・チームがモンゴルに行ってから10年後の2014年に再び企画されたツアーの模様を収めた本とDVDのセットが発売となるそうです。

最初の企画と写真集『Dirt Ollies』とその写真集に付いていたDVD『Mongolian Tyres』は個人的にものすごく思い入れの強いものでした。スケートを再開してまず夢中になったPontus AlvとScott Bourneが参加していたせいですが、さらにChris PfannerやMuki Rustigなどを知るきっかけにもなりましたし、まぁこのブログだってあの頃の情報量の少ない状況の中で自分のスケートへの渇望を鎮めるために始めたようなものでした。いま見直してみたところ実際にブログが始まったのは2008年1月でしたが、この頃のCARHARTT関連の企画などについてはHAMMERHEAD SHARKのブログで散々語り合ってますね...
http://d.hatena.ne.jp/h-shark/20070504/1178299776

今回はDeshiさんも参加していますし、Jerome Campbell、Sylvain TognelliやCARHARTTの企画には欠かせないPhil Zwijsenと「いま」のCARHARTTスケート・チームを堪能できそうで楽しみ。ひとまず1980 Editionsで通販を申し込んでみました。
http://www.1980editions.com/19-80/product.php?id_product=38&id_lang=1

予告編はこちら(vimeoが埋め込めず、申し訳ありません...)
https://vimeo.com/131776769