luecke

夢見る文系スケートボーディング愛好家

BLACK CROSS BOWL




今回の旅の目的地のひとつ、Basel市の北東部に位置するNT*/AREAL内にあるボウル。 由縁は聞きそこねてしまったのですが(涙)、2006年にPontus Alvが作ったボウルとそこから延長したモニュメント的なコンクリート・スポットがローカル達の手によって少しづつ増設されて現在のボウルが二つ並ぶ形に。 2006年と言えばPontusがNils Svenssonらと地元Malmoでアート展『Le Boxx』を開催した年で、そこでもStefan Marxとのコラボによる室内ランプが作られていました。 



このBLACK CROSS BOWLがあるNT*/AREALという敷地もまた不思議な存在。 大きな見本市会場の跡地を文化発信地に変えるべくK.E.I.M.という団体が管理〜運営を引き受けて2000年以降にレストランやクラブを作ったり、様々なプロジェクトを開催しているようで、BCBのローカル達も「ここは公共の空間なんだよ」と言っておりました。 日曜日にはフリー・マーケットも開かれていましたし、スケートやグラフィティとちょっと一般人には物騒に映るはずが、犬の散歩や老夫婦のサイクリング・コースにもなっていて普通の人もよく足を止めてはボウルで滑っている様子をしばらく眺めていました。 



僕がお邪魔した4、5日の間に見かけた「ローカル」は11人。 一瞬しか顔を出さなかった人もいれば、皆勤の者が4、5人。 ほぼ全員がBlack Cross Bowlの黒いデッキで滑り、大会もあった週でゲスト達を招き入れる意味も込めてか(いや、多分そうではなく単純に「愛」のような気が)、Black Cross BowlのTシャツを着てくる者も毎日一人二人いました。 週に一度はBBQをするそうで(僕も運良くごちそうに!!)、その日はスケートしないメンツも多数集合してワイワイじゃべりながら夜を過ごしておりました。 そうやって飲みに〜食べに〜しゃべりに来ているうちに再びスケートを始めたローカルもいるそうですが、その気持ちは非常に分かります。 まず、みんなリラックスしていて楽しそう。 そして滑っているのを見るとすごく簡単そうに映るんですよね(笑) 映像で見るよりもずっと小さく、浅いボウルはかなりのクセ者でBaselを訪れていたスケート・コンテスト参加者でも滑りこなすのに苦労していました。 ボウルではなく、ミニ・ランプに見立てて乗りこなそうとするスケーターも多数いましたが(Oli Buerginの滑りはランプとボウルの滑りの究極のハイブリットかも)、やはりローカル達のように一、二周加速してからトリックに持って行く、あるいはひたすら流しながらコーピングを攻めるのが本流かと。 僕は自分の滑りの甘さを存分に再確認させられましたね。 十字架のある方のボウルで8の字を描くので精一杯で反対側には辿り着けませんでした(涙)。 
セッションは日曜日以外のほぼ毎日展開されているようで、ローカルはiPODを繋げて音楽をガンガンにかけられるスピーカーやナイター用の照明の電源、掃除用具などいろんな便利グッズが入ったロッカーの鍵を所有。 ローカルがいなくてもボウルはいつでも解放されて滑られるようになっています。  



NT*/AREALには謎の集会所やバー〜クラブもいくつかあり、週末には度々酔っぱらいがボウル内にビール瓶を投げ入れたり、スイスの麻薬プログラムの一環による麻薬注射室が隣接していた時期もあったりしたそうで、注射針もよく落ちていたそう。 とは言え、MalmoのSteppe Sideに比べればグラフィティの量や質、上記のような「妨害」はまだどこかかわいいというか、のどかな気さえします。 現在、市はこのNT*/AREALの再開発を計画中でここに高級住宅を作ろうとしているらしく、ひょっとすると2、3年後にはBlack Cross Bowlも潰される可能性もあるそうです。 「最悪なのはここを更地にしておいて、結局金がないから何も建てず、てパターンだろうね」とはローカルの言葉。

クリップは僕がお邪魔した際に撮影したものでAlex Pipoz、Christoph Merkt、Stephan Schenke、Stan、Oli Buerginらが登場。 後半のボウルの廻りに群衆が集まってる情景は上記のBBQではなく、ちょうど開催されていたスケート・コンテストのイベントでETNIESが無料屋台を出してパーティーをやっていた時の模様です。
http://www.blackcrossbowl.com/