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夢見る文系スケートボーディング愛好家

JOHN CARDIEL interview "JOHN CARDIEL: NO SUBSTITUTE" from DOCUMENT MAGAZINE / +1 MAGAZINE web

インタビュー翻訳企画、第2弾はスケートマガジンDOCUMENTの最終号、そしてストリート・カルチャー誌〜ウェブ・マガジン「+1 MAGAZINE」に転載されていましたJohn Cardielのインタビュー! 今回も快く翻訳のブログ掲載許可を頂きました。短めのインタビューですが、Cardiel氏の近況、ピストとスケートへの気持ちを語ったなかなか興味深い内容になっていると思いますので楽しんで頂ければ幸いです。
http://www.plus1mag.com/uncategorized/cardiel-interview/
http://www.documentskateboard.com/



JOHN CARDIEL interview taken from +1 Magazine's web with permission
Original interview by David Hopkins
Photo by Sam Ashley
Translated by Katsushige Ichihashi

尊敬する、自分にとってのヒーロー、それこそ生きる伝説とも言えるような人に会うことは常に奇妙な経験であり続けるだろう。ましてやそれが医師の指示を無視して車イスを使わないどころか、凍てつくロンドンの路上にピストで180(度の回転)をきめているのを見てしまったあとならなおさら。渋々4輪(スケートボード)ではなく2輪(自転車)で自分を表現しなければならなくなったものの、彼の身に起こったことにも関わらず(いや、それをものともせず)、カーディエルは最高に明るく、周りを巻き込んでしまうほどに熱狂的でポジティヴな人物であり、彼に会えることは常に最上の喜びであろう。スケートボード界にまだ彼がいてくれることほど光栄なことはない。

___この凍てつくロンドンには何をしに?

CARDIEL: いや、ただ誰かが飛行機のチケットを取ってくれて「行く?」てきくから「行く!」と答えただけだよ。行くでしょ!? 家で何もせずに座ってるよりはいいと思って。サンフランシスコは今27度とかだけど、「全然違うとこに行ってやる!」という気になってね。

___しかしこっちは寒いでしょう? 

CARDIEL: でもストリートはあったかいよ。

___もうサンフランシスコには住んでいらっしゃらないんですよね? 

CARDIEL: 今はサクラメントに住んでいる。

___オマーもまだそこに住んでいますか? 

CARDIEL: うん、オマー・サラザーにステファン(・ジャノスキー)、マット・ロドリゲスやブランドン・ビーベル、もうありとあらゆるスケーター達が住んでるよ。

___オマーも自転車にハマッていると聞いたのですが?

CARDIEL: ちょうどピストとかを始めた、と言うか俺がオマーにピストを組んであげたんだよね。26インチのレッドラインでなかなかいい感じだよ。それでちょろちょろクルーズしてるみたい。まぁあいつは今や自分の家を持っちゃったくらいで。若いのにもう家とか車まで手に入れてスケートボーディングだけでかなりうまくやってるみたい(笑) 

___ピスト関係のビジネスを始められたのですか? あるいはまだ趣味の段階なのでしょうか? 

CARDIEL: ちゃんとしたビジネスを始めたいんだけど、なかなか難しいね。自分の家で友達のために自転車を組んだりしてて、知り合いに塗装を手伝ってもらったり、他にもいろんな人に関わってもらっているんだけど、店舗がないからパーツを卸してもらえなくて。店舗の写真を送らないとお店として認めてもらえなくて、卸値にしてくれないんだよ。だから自転車を組むときは普通に小売り値で仕入れたパーツしか使えないからいざできあがった自転車を誰かに売るとなると値段がどうしても高くなってしまうのが難点で。でも大抵は周りのキッズとか誰かのために採算度外視で組んでる感じ。まぁ言わば誰かのためにアート作品を作り上げて、それを気に入ってくれた人が「これ、俺を友達が組んでくれたんだ」と街で乗り回してくれて、それが口コミで広まってまた違う人から自分も1台欲しいって言ってくれるみたいな感じだよ。ほら今ガソリンが高いのもあってみんな自転車にハマッてるみたいで、そういう状況も後押ししてるけど、昔から結構みんな乗ってるし、いい感じだよ。ポジティヴな流れだと思う。2週間前にジュリアン・ストレンジャーとピストでロスを乗り回したところだよ。ピストを通して初めてロスをちゃんと知った気がする。ピストだと街の端から端までをカバーできるというか実感できるね。今まではスケート・スポットを何個かしか知らなかったけれど、スポットを知ってると言ってもそれって目の前にある「場所」そのものしか知りえないわけで。ピストだと「あぁこのバンクはここにあって、これはあっちか」と各地を実感できて。もう走りまくったよ... 毎日50〜60キロくらい走ってたかな。最高だった。街を知るには素晴らしい方法だね。

___地元にいるときの典型的な1日ってどんな感じですか? 

CARDIEL: 起きたらメールをチェックして、何かしら用事をすませていく感じかな。ANTI HERO関係とかいろんなTシャツやスウェットのアイディアとか仕事っぽいことはサンフランシスコまで行ってやってる。基本的にいつもそういう感じ。いろんな人に会って、話をして、いろんなプロジェクトを進行させて。なんだかんだと形になっていってくれるよ。俺には決まった仕事体制とかはないね。

___いわゆるルーティーンな「仕事」をしなくていいのは幸運とも言えますよね。

CARDIEL: だよね! 感謝してもしきれないくらい。怪我をして、そこから何とかカムバックしようとしたけれど治療も一段落して、今は自分の道を探していて... 自分はスケートボードとその世界からものすごく支えてもらっていて、そこから離れるつもりはないと言うか... それしか知らないんだよね。自転車に乗っているのは違う形でも関わっていたいからなんだけど、自転車だからさ! なんだかややこしいよね。まぁ何とかやってるけど。

___今も脚を動かすためにかなりの運動が必要なのですか? 

CARDIEL: 地元にいるときはほぼ毎日ジムに行かないといけない。気持ちを保っていないとすぐに体が元に戻ってしまうんだ。自己管理して自転車に乗ったり、運動を欠かさないようにしないと脚がすぐに悪化して車イスに逆戻りさ。自分で作り上げた筋肉だけが俺を歩かせてくれる。だから体を管理して、とにかくやり続けるしかないのさ。

___やはりすごい状況にいらっしゃるのですね。事故以前からでもある意味ジムに通い続けているような相当の運動量でしたでしょうし。

CARDIEL: そうだね。

___ANTI-HEROはテーピング・グッズを作るべきですね。

CARDIEL: それ最高だね(笑) 俺はあまり人に会いたくないから夜の10時とかにジムに行ってボールとかいろんなもので変わったエキササイズをするんだけど、自分でやってても「俺ナニやってんだ?」とか思っちゃうよ。他人はさ「究極のボディー」を手に入れるためにやってて、みんな「イェー」とか言って張り切ってるんだけど、俺は内心では「あぁここから逃げ出したい」て気分でさ。みんなと違ってこっちは必要に迫られてやってるわけで。

___割と年のいったスケーター達が自転車に乗り始めているのはその楽しさもさることながら、消耗した膝を動かすのに適した運動だからじゃないかと思ったのですが。

CARDIEL: たしかにそうかも。自転車、特にピストだと交通の中を走るとき、目の前にラインを見つけてそこに突っ込んでいく感覚はスケートボーディングと同じだね。同じエネルギー、同じ感覚を得られるよ。自分の動きを計算し、出口を見つけ、周囲とかけひきして。たとえば赤信号を突っ切ったりとか。鼓動はあがって周りとの戦い。それはまさにスケートボーディングと同じ。サンフランシスコにいると坂だらけだかさ、前後にスライドして体制を整えたりして。サンフランシスコは坂がすべてとも言える。最高だよ。(自転車はスケートみたいに)トリックをきめるわけじゃないからまた違った方法でエネルギーを生み出すんだけど、感覚的にはすごく近いよ。(※ hillはあえて「丘」と訳さずに「坂」にしてみました)

___ピスト・ブームが始まったときに多くの人がそれをただのファッションと誤解しましたし、私もまだ完全にはピストの感覚を理解できないものの、ブレーキの無い自転車で赤信号を突っ切るなんてのはかなり激しい(gnarly)ですよね。

CARDIEL: 自分にとっては... 説明するのが難しいね... 自分のスケートへの愛がどうやって自転車に結びついたのか... あ〜やっぱり無理があるよ! 俺はスケート仲間と自転車の話をしたいなんて思わないし... なんでそっちのシーン(自転車)をサポートしなきゃいけないのか... なんでそもそも自転車の話なんかしなきゃいけないハメに陥ったのか、てことだよね。状況が変わってしまったとしか言えない。でもまるで自分にガールフレンドがいて彼女を裏切りたくないと思っているような感覚なんだ。スケートボーディングが俺の彼女で、俺は裏切りたくない。でも、滅茶苦茶な話なんだけど、俺は自転車に浮気してるみたいなことになってて! まさにスケートボーディングを裏切ってる気分さ。

___スケート側はきっと気にしませんよ! 

CARDIEL: 俺はスケートをものすごく愛していて、そこに関わり続けることでそのエネルギーに触れていたい。自分のエネルギーのすべてをスケートに込められたらいいのにと願っているものの(昔みたいには滑れないから)、そうできずに変なことになっちゃってるんだよね。どうしたらいいのか分からないままで、どうしようもなくて。でも自分がスケートしていられたらいいのになぁと本当に思うよ。



ツアー先のオーストラリアにて車に巻き込まれて脊髄を損傷し、一時は下半身不随となったJohn Cardielのスケーターとしてのキャリア〜闘病、そしてANTI-HERO、THRASHERやDLXといったスケートボード界との関わりを非常に分かりやすく(英語なので「分かりにくい」のですが)ドキュメンタリーにしたEpicly Later'dのシリーズも合わせてご覧頂ければ、と思います。

Cardiel氏がスケートボーディングに関わっていくことでそのエネルギーに身を投じていたいと思うように、僕は0.01%でもCardiel氏のそのエネルギーに触れていたいというか、あやかりたい、目標にしたいと思っております。 が、今だとすぐに「寒くてもう家から出られない」とばかりにスケートもさぼりがち(涙) 彼を尊敬する資格さえないかも知れません。 それこそEpicly Later'dのシリーズで初めてちゃんと彼のことを知ったくらいの新参者ですし... でもひそかに心にはいつもGonzの遊び心とCardielの闘志を持ち続けることを信条としております。 目標は高く!(笑)
今年もこんな感じでいろんなインタビューをできる範囲で翻訳していこうと思っておりますのでよろしくお願いします。 面白いものや「これやって欲しい」といったリクエストがあれば是非教えてください。 ちなみに今回のインタビューはここで見つけました。
http://mrvtr.tumblr.com/
写真だけを貼ってオモロ・ネタのリンクの編み直すというか再構築して独自の世界を作り上げちゃうスタイルはある意味「発明」だと思います!   [Luecke イチハシ]