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夢見る文系スケートボーディング愛好家

YOAN TAILLANDIER interview from THESE VIDEO DAYS web


MAGENTA SKATEBOARDSの映像作品を手がけるYoan Taillandier(ヨアン・タイランジー)の新たな小作品『Meanwhile』がいよいよリリースされたようですのでインタビューも是非! 朋友Leo Vallsのイントロダクション付き!

YOAN TAILLANDIER interview from THESE VIDEO DAYS web taken with permission
http://www.thesevideodays.com/index.php
Leo Valsによるイントロダクション...

Yoanとのつきあいはもう10年以上になる。彼はスムーズなスタイルを持つ才能溢れるスケーター。もちろん、その前に僕の大親友でもあるけど。
ボルドーのOGスポット「マルロー」での最初のセッションを思い出すよ。市があの場所を取り壊すまではみんなあそこでスケートを始めたんだ。僕たちはスケートに夢中のガキで先輩たちの背中をみて育った。Yoanは当時から当たり前のように長い三段ステアをフロント・サイド・フリップであがっていってた。

Yoanはヤバいスケート・ビデオのコレクションを持っていたけど、借り物のカメラに自作のフィッシュアイをつけて、街のシーンを記録できるんじゃないかと自分でも映像を撮りだした。思い出作りでもする気分でね。

でも僕はその映像のクオリティと彼の熱意にぶっ飛ばされた。あいつには持って生まれた才能があったと思う。

25歳になったいま、Yoanはすでにたくさんのビデオ・クリップを残してきたし、『Minuit』という初のフル・レングス作品も完成させた。全編、彼が手がけた作品はボルドー、サンフランシスコや東京などにいる仲間たち姿をそのまま映し出しながら、Yoanならではのスタイルもちゃんと提示したすごい作品だよ。

さらにインディペンデントなフィルマー(映像作家)として動き続け、シーンの結束のために戦い続け、MAGENTAのために作品を作り続ける彼はフランスのみならず、世界のスケート・シーンにも存分に存在感をアピールできると信じて疑わない。

彼はMINUITをブランドとしてさらに押し進めようとしている。新たに登場するアパレル・ラインとプロモ・ビデオの『Meanwhile』はまさにその門出を祝している...

THESE VIDEO DAYSによるYoan Taillandierのインタビューをお楽しみあれ!

どこで育ったの?

Yoan: 僕は南フランスの小さな街、ボルドーで生まれたけど、父はグアドループ(カリブ海)の出身で母はフランスの田舎町の出身なんだ。

ボルドーってどんなところ?

Yoan: ボルドーは小さいながらも美しいフランスの街。現存する古い建物がとにかくきれいで、街のあちこちを通る小さな道や建物に施された彫刻も美しいよ。さかのぼると奴隷貿易も含む大西洋三角貿易という強烈な歴史にも深く関わっていたりする。物価は安いし、ほとんどの人はスケートボードには無関心というか、心が広くて一日中どこでスケートしようがキックアウトされることもない。45分もあれば海に行けるし、夏休みを過ごすにはぴったりの街だと思うよ!
1977年に建てられた「アンドレ・マルロー・センター」がラブパークみたいな最高のスポットだった。当時はフランスのあちこちで新しい建築の波が押し寄せていたけど、ボルドーも例外じゃなかった。20年近く、そこがボルドーのメイン・スポットだった。1998年にはそこでWORLD INDUSTRIESのデモがあってデーウォン・ソン(Daewon Song)、マーカス・マクブライド(Marcus Mcbride)やエンリク・ロレンゾ(Enrique Lorenzo)も来てた。その日、そこに居合わせたのが僕がスケートボードを始めたきっかけだったんだ。2000年代中頃にそのスポットはなくなってしまったけど、それ以来、街中がどんどん整備されて大理石の道や新しいスポットができたり、路面電車といった交通の便もよくなってきたりした。最近の状況はそんな感じかな。

映像を初めて撮ったのはいつ?

Yoan: 映像を撮り出したのは15歳くらい。友達のチャールズの母親のカメラに虫眼鏡のレンズとマックフルーリーの空き容器から手作りしたフィッシュアイ・レンズをテープでくっつけてお互いを撮りあっていた。楽しかったよ。チャールズは結局、VHSのビデオを1本作っちゃったからね。今観ても最高の1本だよ。

さらに本格的になったのは?

Yoan: 昔のボルドーにはすごくいい感じのローカル・シーンがあったんだ。10年前にはトム・ペニー(Tom Penny)やアリ・ボウララ(Ali Boulala)が1年半ほど住んでいた時期もあって、僕にとっても忘れられない思い出がたくさんあるよ! ただ、当時のボルドーにはフィルマーがいなかったから、90年代に作品を作っていたリヨンのフレッド・モルターニュ(Fred Mortagne/フレンチ・フレッド)やJB ジレット(JB Gillet)などが有名になっていくのをみて、ボルドーでも作品さえ残していれば同じようにもっと認知された人がいたはずだという思いにかられてね。一番シーンが盛り上がっていたときに記録を残せなかった上に、当時のボルドーOGたちはどんどんスケートから離れていく状況が残念で仕方なかった。だから僕はこれから登場する新しい世代のためにもボルドーのスケート史に貢献したいと思って本格的に撮影を取り組むようになったんだ。

その当時、一番好きだったスケート・ビデオは何?

Yoan: 初めて観たビデオはZOO YORKの『Mixtape』だった。まさにそこからすべてが始まった。あと当時よく観ていたのが『The Chocolate Tour』(CHOCOLATE)、『Modus Operandi』『The Reason』(TRANSWORLD)、『Tantrum』(FTC)、『Fit』(411)、『Trilogy』(WORLD INDUSTRIES/BLIND/101)あたりだね。最高のビデオ・コレクションとビデオ・デッキを2台持ってる友達にダビングして作ってもらった4時間の自家製テープを観ながらよくソファでそのまま寝ちゃってたよ。『Trilogy』、『Tantrum』、『Fit』『Kaleidoscope』、『LA County』FTCのビデオ、TRANSWORLDの『Closure』『Eastern Exposure』『A Visual Sound』(STEREO)などなど... まさにインターネットもユーチューブもなかった、ダブル・デッキ時代のスケート・レッスンさ。

特定のスケート・シーンやフィルマーにハマッたりした?

Yoan: ヒル・ボマー(爆撃するようにダウンヒルする)のハフ(Keith Hufnagel)がいた90年代のサンフランシスコのシーンが一番好きかな。でもジョシュ・ケイリス(Josh Kalis)、ALIEN WORKSHOP、STEREO、ジョー・カストゥルッシー(Joe Castrucci)にビル・ストローベック(Bill Strobeck)も捨て難いなぁ。でも2012年現在なら、なんと言っても日本の森田貴宏(FESN)とタイトブース・プロダクション(TBPN)だね。僕のスケート撮影にたいする関心とモチベーションをあげてくれるのは彼らだよ。あとはトーマス・キャンベル(Thomas Campbell)のサーフィン関係の映像と彼のアートワークにもすごく影響を受けている。彼は完全に自分の世界を作り上げていてすごいよね。

じゃあ、この10年間だとどう? 君の映像にたいするアプローチを変えたトップ5の作品を教えてよ。

Yoan: ダン・マギー(Dan Magee)が作ったBLUE PRINTの『Lost And Found』はヨーロッパのスケートボーディングに対する見方を変えてくれた。地理的な特色や建築様式といった背景をうまく利用し、引き出してやることでスケート・フィルムに新しい息吹を吹き込んで、自分だけの個性が生み出せることを教えてもらった気がする。2003年の『Mosaic』までのHABITATALIEN WORKSHOPにはグラフィックの巧みさと映像の質の高さに相当ヤラレた。あとは2003年までのTRANSWORLDとON VIDEOシリーズのドキュメンタリー・スタイル。そして森田貴宏(FESN)とタイトブース・プロダクション(TBPN)がみせる、あの大都市の中でのモチベーションの高さと創造性の塊のような活動ぶり。

君の作品はいつも自然な流れを感じさせるんだけど、どうやってそういう「流れ」を生み出すの?

Yoan: そういう感触があるのは僕たちがいつも楽しむためにスケートしに出掛けるから。何をするにも変なプレッシャーは無し。スケートボーディングのクリエイティヴな面だけを取り上げたいんだ。危険なハンマー・トリックや退屈なレッジのコンボ・トリックじゃなくてね。

ボルドー以外で撮影してきた場所はどんなところがあるの? その中でも一番のお気に入りは?

Yoan: スケートボーディングのおかげでアメリカや日本にも行けたよ。どちらもそれぞれに魅力があって良かったけれど、やっぱり今まで訪れた中だと東京と大阪が一番印象深いかな。まず、日本はフランスやヨーロッパとはまったく違う世界で人々の生き方や考え方も違うよね。僕にとっては旅での新しい経験はすごく大きな意味を持つし、日本の人たちは本当に親切でただただ素晴らしかった。夜の街の表情がまたすごいんだ。スケーターにとっては新世界。アリ塚に入り込んだような気分だったよ。

これまで訪れた国の中で最高の経験、あるいは最悪の経験っていうと何?

YOAN: 最悪の経験なんてないよ。どんなところでも何かしら新しい発見を得られるチャンスはあるし、最悪の経験からも学ぶことがあるから結果的にはありがたい、ということになるだろ?

最近のフランスのスケート・シーンやこれまでの流れ、歴史について教えてもらえるかな?

YOAN: フランスではこれまでスケーター個人やカンパニーが単体で動きを見せることはあっても、それぞれの地方でシーンがひとつになって盛り上がったことはほとんどなかった気がする。でも最近はみんな自分たちのローカル・シーンを盛り上げるべく、良質なインディペンデント・ビデオを発表することが増えてきて、『フレーム・バイ・フレーム』のプロジェクトや『クロスウォーク』を作ったレンヌの連中みたいに自分たちの力でシーンを作り上げていこうとする動きが活発になってきている。自分たちの住む街、ローカルな環境の中でスケートし、創造することに挑戦する者も出てきている。

MAGENTA以外に注目すべきフランスのシーンやカンパニーって何かある?

YOAN: MINUITは昨年リリースした初ビデオからさらに発展させて『Meanwhile』というプロモDVDを出したところだし、アパレルも展開するからチェックしてもらいたいね。

君にとって「スタイル」の定義は? またそのスタイルに関して、一番影響を受けたのは?

YOAN: スタイルとは外界や環境との相互作用から生まれるボディ・ランゲージ。スタイルとは形を読みとり、形をリズムで捉えることができる能力。誰もが自分の流儀とフロウを持っている。そこがまたスタイルの面白いところ!

スケートボーディングは進化を続けて多様化してきたけれど、これから先はどこに向かうと思う? Yoanとしてはどこに向かってほしい?

YOAN: 現代の様々なコミュニケーション・ツールのおかげで今までなら誰の目にも触れることがなかったような極地的な動きにもアクセスできるようになったから、斬新でユニークなスタイルを目にしたり、自分たちで世に広められる可能性が出てきたよね。スケートボーディングには限界なんてなくて、すべてはみんなの想像力次第だと思う。みんなが向かいたい方向にスケートボーディングは進んでいくんだ。自分たちのやり方次第さ。

誰かのビデオ・パートを観るときは何を期待する?

YOAN: やっぱり驚きかな。スケートボーディングを目にする度に同じものばかり見せられるのは勘弁してもらいたい。

インターネットの誕生ですべてのものに簡単にアクセスできるようになり、スケート関係の映像もより早く、より多く発表しなければならなくなった現在の状況はスケート・ビデオの存在や意義を薄めてしまったと思う?

YOAN: ネットに溢れている映像にはどうせみんな飽きるときが来るよ。ちゃんと作り込まれた、良い作品を観るためにはDVDじゃなきゃだめなこともある。

Thanks to Yoan Taillandier, James Wineray, Guillaume Anselin, Liu Ichilo, Leo Valls, Paul Brabenec, & Magenta Skateboards


Photographs : James Whineray, Guillaume Anselin, Liu Ichilo



www.yoantaillandier.com

Magenta's SF Hill Street Blues from Magenta Skateboards on Vimeo.


Magenta x Minuit REMIX from Magenta Skateboards on Vimeo.


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