luecke

夢見る文系スケートボーディング愛好家

PHIL EVANS interview from maelstrom Magazine

Format Perspective Preview - Nils Svensson from Philip Evans on Vimeo.

Format perspective
original interview by Sebastien Charlot
taken from maelstrom magazine web with permission
translated by Katsushige Ichihashi(LUECKE)
http://www.maelstrommagazine.com/2011/05/format-perspective/2/
フィル・エヴァンスはちょっと変わったアイルランド人で、スーパー8でスケート・ビデオを作る。ヨーロッパのスケーターがそれぞれ自分たちの国で滑る様子を収めた『Scrum Tilly Lush』に続いて、彼は新たなプロジェクトを引っさげて帰ってきた。『Format Perspective』と名付けられたその作品はスケートボーディングを写真に収めるカメラマンについての映画となっている。是非ともこのインタビューを読んで、7月7日、ベルリンでのプレミア上映会に足を運んでみてほしい...
*まずは新プロジェクト『Format Perspective』について教えてください。

『Format Perspective』は基本的にスケートボーディングを写真に収めるスケート・フォトグラファーたちについてのドキュメンタリーであると同時に写真をフィーチャーしたスケート・ビデオでもあるんだ。各フォトグラファーの「舞台裏」を見せつつ、彼らが写真に収めるスケートそのものを映像としても見せている。作品は全編、ちゃんと音声も記録しつつスーパー8で撮影した。あと、なかなか渋いと思うんだけど、フォトグラファー自身のスケート・シーンも見せているんだ。滑れないスケート・フォトグラファーなんて最低だからね。

*本当に全部スーパー8で?

うん、作品は全編スーパー8で撮ったよ。最初からそうしようと決めていたんだ。コンヒューとデニス・リン(ベルファストの兄弟スケーター)のフッテージやスチュ・ロビンソンの写真を使って試作品を作ったこともあった。HD用の機材も持っているけど、HDで撮ると映像がデジタル一眼レフで撮られた写真たち同じような感触にしかならなくて。スーパー8で撮る方がリッチな写真と映像の間に絶妙のコントラストが生まれて、荒いスーパー8の映像が写真そのものへと視線を導いて、より写真を浮き上がらせてくれると思うんだ。

*スーパー8を使うことでより写真家たちに光を当てようと思ったのでしょうか?
作品に登場するフォトグラファーたちはイメージを構築するために人並み以上に心血を注いでいて、本当に尊敬するばかりだからね。セルゲイ(ヴトゥク)なんて現像どころかプリントまで自分でしてしまうし。彼らの技術、忍耐と努力にはただただ感服させられるから写真家に焦点をあてたいと思った一因にはなったかも。スケート・フォトグラファーとして認められるためには自分のやることに本当に心を込めなきゃいけないからね。

Format Perspective Preview - Alex Irvine from Philip Evans on Vimeo.

*写真家を選ぶときの基準は何でしたか?

最初にベルファストでスチュ・ロビンソンを撮り始めて、次にここダブリンでリッチ(ギリガン)を撮らせてもらって。そのリッチがアレックス(アーヴァイン)とニルス(スヴェンソン)を推薦してくれて、その二人も僕のアイディアに喜んでのってくれて最高だった。さらにアレックスが僕をバートラント(トリシェ)に引き合わせてくれて。彼の写真は『Dirt Ollies』で知っていたから彼もこのプロジェクトに加わってくれることになって最高に嬉しかったよ。彼がまたさらにいろんな人に引き合わせてくれて、このプロジェクトが実現したわけ! そうやって参加してくれた人の推薦で数珠つなぎにラインナップができあがったのもすごく良かったと思うんだ。そうやって本当に興味とやる気を持ってくれる人が集まってくれた。

*この新しい作品を通して表現したかったことは何ですか?

一番興味があったのはそれぞれの人が持っている物語だったね。前作を作り上げた後、新たなインスピレーションを探し求めていて、 単に「スケート・ビデオをもう1本作るだけ」みたいなことはしたくなかったからなぜ自分がスケートボーディングを撮るのか自問していた。だからなぜそうやって自分が撮っているものを撮るのか、という答えを見つけたくて彼らを撮ってみようと思ったんだろうね。彼らがなぜスケートボーディングを撮っているのか、という答えを見つけたかった。ひとりひとりがそれぞれ全く違う世界と写真のスタイルを持っていたからいろんな物語と素材を扱わせてもらえた。あと、スケートボーディングのフッテージと写真を結び合わせるような映画を作る機会に恵まれたのも最高だと思っている。

*スケート写真について改めて学んだことは何でしょう?

儲からない、てことだね!

*スケート・フォトグラファーはスケート業界最後の「職人」なのでしょうか?

いい質問だね! 確実にスケート写真の方がスケート・ビデオよりもずっと多くの技術と努力を要求されると思うから、そういう意味でも写真家の方をより尊敬するかな。スケート写真というものはきちんとした技術や知識無しじゃあやっていけない世界だから。スケート・ビデオはすごくテクニカルにやっても、適当にやっても世界イチ退屈なビデオを作ることくらいは可能だと思う。スケート・ビデオってアイディアが大切だと思うんだけど、スケート写真はそのアイディアを実現する前の準備や作業が重要なんだよね。

*やはり一番わくわくするのは現像された8ミリのフィルムが手元に戻ってくる瞬間なのでしょうか?

わくわくする瞬間でもあるけど... 緊張の一瞬でもあるんだよ! 今回は露出でいろいろと冒険したから。スーパー8の映像を大胆にいじって、よりいっそう写真との対比を大きくしたかったんだ。まぁ、ちゃんと手にとって、触れて、映写機で再生できるようなリールはいいものだけどね。ハード・ディスクにファイルを保存するだけよりはずっといい!

Format Perspective Preview - Stuart Robinson from Philip Evans on Vimeo.

Format Perspective Preview - Sergej Vutuc from Philip Evans on Vimeo.

Format Perspective Preview - Richard Gilligan from Philip Evans on Vimeo.

Format Perspective Preview - Bertrand Trichet from Philip Evans on Vimeo.

http://www.formatperspective.com/
http://vimeo.com/philevans
http://www.aulpups.com
http://www.thescrumtillylush.blogspot.com/

ヨーロッパの様々な都市にてスケーターが地元の街を滑り倒す様を8ミリで焼き付けた名作ビデオ『Scrum Tilly Lush』(2009)の制作者、Phil Evansが新たに届けてくれる作品はまたもやスーパー8で撮影。さらにスケートの世界の裏側をスケート・フォトグラファーとその写真に焦点をあてることでまた新たな角度からより深く踏み込んだものになっているようで楽しみです! DVD、そしてDVD+ブックレットのセットも販売されることになりました! 『We Love You』改め『Pushed』と改名したドイツのスケート〜アート・ドキュメント映画とセットで早く観たい!
http://d.hatena.ne.jp/luecke/20110612
http://d.hatena.ne.jp/luecke/20110414
http://d.hatena.ne.jp/luecke/20110427