luecke

夢見る文系スケートボーディング愛好家

FOS interview from PLACE magazine


先日のDaniel Shimizuに続いてChet Childressの加入も発表されたHEROIN。目下製作中だという新作ビデオが楽しみでならないですのですが、Fosのちょっとしたインタビューがあったので翻訳してみました。アメリカでの生活をエンジョイしてる彼の姿が浮かんでくるようです。

Mark “Fos” Foster interview
taken from PLACE MAGAZINE with permission
Original interview by Jeroen Smeets
Translated by Katsushige Ichihashi(LUECKE)
http://www.placeskateboarding.de/?p=8203

Behind The Scene - FOSとAltamont

やばいブランドの裏には必ずそのブランドのヴィジュアル面のアイデンティティーを生み出す、デキるアート・ディレクターが潜んでいる。今回、このコラムの新シリーズ「Behind The Scene」ではそうやってブランドのトーンを決めているような裏側の人たちに光を当てようと思う。普通、アート・ディレクターというと話を聞く機会なんてまずないものだが、Mark “Fos” Fosterの場合は少し事情が違う。彼の名はイギリスのスケートボード業界そのものとほとんど同義の存在で、HEROINやLANDSCAPEといった自身が運営するスケート・ブランドで発売した無数のデッキやTシャツを作品の発表の場としてきた。そしてFosはALTAMONTでも立ち上げからアート・ディレクターを務め、独特のダークで残虐、それでいてどこかおかしくハジケた画風でこのロサンゼルスのブランドに貢献してきた。これだけでも相当忙しそうに思えるが、合間を縫ってはBAKERやDEATHWISHまで手伝っているというのだから恐れ入る。一体どうやってこなしているんだろう?

経歴について教えて。アートの学校などにも行ってたの?

FOS: 高校を卒業してから何箇所かアート系の学校に行ったよ。その後ロンドンに越してGOLDSMITHSという結構有名な芸大に入ったんだ。絵やグラフィックにずっと夢中だったし、イラストを描くのは止められなかったほど。でもなぜか専攻はデザインになっちゃったんだよね。今でもその理由は思い出せないけど、そうなってくれて良かったと思う。おかげで仕事に就かずにロンドンで生活することができたし、コンピューターやグラフィック・デザインをおぼえられたし、女の子とおしゃべりする術も身につけることができたから。

いつ、どうやってスケートボード業界で仕事をはじめたの?

FOS: ずっとスケートしていたから、自分自身もアートもずっとスケートからの影響を受けて育ってきたようなものだったけど、本格的に業界と接点を持ちはじめたのはEd Templetonにデッキのシリーズ用にイラストを送ってみたときからだった。彼はそれを気に入ってくれて、実際に使ってくれたんだよね。当時は代理店で働いていて、それこそコンテナ単位でシューズを発送してた。その裏方から販売部門に出世して、最後にはロンドンのSLAM WAREHOUSEの総務にまでなったんだ。でもLANDSCAPEをはじめるときにそこは辞めたんだ。HEROINにももっと集中したかったし。

ALTAMONTに迎え入れられたのはいつ、どのように?

FOS: HEROINとEMERICAでコラボ商品を作ったときにJustin Reganと知り合った。彼はHEROINや僕のアートを気に入ってくれてね。ちょうど新しいアパレル・ブランドを立ち上げようとしていて、JustinがAndrew Reynoldsに僕の作品をいろいろと見せたところ、Andrewも僕を気に入ってくれて、ALTAMONTのロゴにはじまり、立ち上げの最初から僕をアート・ディレクターに抜擢してくれたんだ。

ALTAMONTのヴィジュアル面の哲学を言葉で説明すると?

FOS: ブランドのイメージを作るのは新しい言語を生み出すようなものだと思う。一目でわかってもらえる、理解されるものを作らないとね。ALTAMONTのロゴは生々しいものにしたかった。イメージとしては南米のスケートパークに落書きされたデスメタル・バンドのロゴみたいで、それでいてどこか均整もとれているような... あとブランドのイメージがあまりあの1969年のオルタモントのフリー・コンサートのヒッピーとかストーナーのノリに引っ張られないように細心の注意を払ったよ。できあがりにはすごく満足してるし、このブランドを本当に愛してる。どのブランドにも似ていないし、関わってる人たちもやばい人ばかりだ。すごく時代とも共鳴した、いいブランドになってくれていると思う。

ALTAMONTと並行して他のブランドも手がけているよね? たとえばHEROINとか。一度に複数のブランドのヴィジュアルのアイデンティティーを作り上げるのは難しくないの?

FOS: いや、そうでもないよ。どのブランドもまったく違った「グラフィック言語」みたいなものを持っているべきだから、僕はただそれを作り上げて、押し進めていけばいいだけなんだ。HEROINとALTAMONTだと文字要素が似ていることもあるけど、色使いといったヴィジュアル面やブランドのフィーリングみたいな別の要素から違いを生み出していけるからね。そこはどのブランドに対しても気をつけているよ。

決定権はどれくらい持っているの?

FOS: たまにお蔵入りになってしまうものもあるけど、 提供したものは大体使ってもらえている。そりゃ、ときには自分ではめちゃくちゃ気に入ってたのに形にならない、なんてこともあるけど、あまり気にしないことにしてる。そんなときもあるさ。

チームのライダーとも密に連絡を取り合って、みんなの意見をブランドに反映したり、あるいはみんなに色々と提案してあげたりする?

FOS: それもあまりしないかな。自分のやりたいようにやらせてもらってるよ。特定のライダーに向けたアイディアがちゃんとある場合もあるけど、ただただ自分の好きなようにやることもある。

ちょうどロスに引っ越してきて「現場」により近づいたわけだけど、ALTAMONTの事務所での一日ってどんな風に過ごしているの? 

FOS: 最近までロンドンの家から仕事してたからまだまだ新しい環境に馴染もうとしているところなんだけど、たとえば今日だと10:00からのミーティングに合わせて事務所に来て、昼は道をちょっと下ったところにあるヤバいメキシコ料理を食べにいって、その後はまた事務所に戻ってブラブラしたり、シャツのデザインとか広告のキャンペーンのアイディアを練ったりするかな。その後は午後にコーヒーを飲んで、仲間とちょっとつるんで、車でロスに戻って、そこから俺の夜がはじまる感じかな。

このインタビューを読んで改めて思ったのがひとつのブランドを運営するのも相当に大変なことなのに、FOSはHEROINにLANDSCAPEと二つもやりつつ、アメリカのブランドにも様々なアートワークやデザインを提供し続けてきたんだよなぁということ。すごいエネルギーです。そして駄作がないような気がするのも本当にすごい!
HEROINのアメリカ・チームがどこまで拡大するのか、そして新作ビデオがどうなるのか、とにかく楽しみと不安が入り交じったドキドキわくわくな感じで見守らせていただきます!